理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO486
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調査・統計
理学療法士の専門職の実践に対する意識
作業療法士、および日本、オーストラリア、スウェーデンとの比較
*荻原 新八郎
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抄録
【目的】理学療法職の実践におけるパラダイムについて帰属理論に基づいて検討し、作業療法士(OT)、および豪州・スウェ一デン(ス)の理学療法士(PT)と比較・検討することである。【方法】日本理・作・療法士(PT・OT)協会会員一千名ずつに対し、22項目の主張から成る理・作・療法職の実践に対する態度を郵送調査法を用いて測定した。【結果】PT・OTともに社会相互行為帰属・患者帰属間、患者に備わった対処資源に対する態度・患者帰属間、PTの就業領域態度・技術帰属間にいずれも弱い相関が認められた。本相関はPT・OTともに9項目について有意な関連が認められた。患者帰属と就業領域態度についてはPTの方が有意に優っていたが、包括的な態度と患者に備わった対処資源に対する態度についてはOTの方が有意に優っていた。女性PT・OTでは患者に備わった対処資源に対する態度が有意に優っていた。同性内でのPT・OTの比較において、男性では患者帰属と就業領域態度についてPTの方が有意に優っていたのに対し、OTでは包括的な態度が有意に優っていた。女性では就業領域態度がPTにおいて有意に優っていたのに対し、OTでは技術帰属と患者に備わった対処資源に対する態度が有意に優っていた。勤務分野に関しては、医療施設勤務者と非医療施設勤務者における従属変数の平均値の有意な差は社会相互行為帰属と患者に備わった対処資源に対する態度について認められた。前者は、非医療施設勤務のOTで高く、後者は非医療施設勤務のPTで高かった。外国のPTとの比較に関し、男性では技術帰属、包括的な態度、就業領域態度が豪州において有意に優っていた。また日本の男性PTにおいて高値の従属変数は、患者帰属、社会相互行為帰属、患者に備わった対処資源に対する態度であったが、いずれにも有意な差は認められなかった。女性では日本のPTの患者帰属が有意に優っていた。豪州の女性PTで有意に高かった従属変数は技術帰属、包括的な態度、患者に備わった対処資源に対する態度、就業領域態度であった。スとの比較において、男性ではすべての従属変数でスの方が高く、中でも技術帰属、包括的な態度、就業領域態度が有意に高かった。さらに女性では、すべての従属変数についてスの方が有意に高かった。【考察】大多数のPT・OTは患者・PT関係と患者の動機に焦点を当てることに比べて治療技術の選択をあまり重視していないようである。医療社会学の観点から、PTは患者に自己の病人役割を遂行するように努めている。患者・医療者関係についてエンパワーメントモデルは当てはまるであろう。対話を強調し、問題解決の戦略も含めた患者自身の問題の概念を発見しようとするPT・OTが多く、専門職の観点からもかなりの自律性を実践している。患者の視点に立った医療のためには理学療法診療録の開示も良好な患者・PT関係に寄与するであろう。理学療法職の実践においては心身二元論的な考え方から脱却すべきである。我が国のPTには包括的な実践態度を高める余地がある。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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