理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO487
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調査・統計
理学療法は死亡率を変えうるか
年間死亡率と身体活動量の関連
*木村  朗
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抄録
目的】ライフステージ後期の理学療法(以下PT)効果を身体活動量の創出効果として確認し、今後のEBMに対応可能な臨床、研究のモデルを作ること。対象】病床約200床の老人病院でPTを受けている患者のデータを対象とした。疾患は脳血管障害に基づく後遺症であり、ガンの症例も存在した。対象の属性は、調査終了時点で男性60名、平均年齢72.3歳、女性54名、平均年齢81.6歳であった。方法】研究デザインは1年間のコホート研究で時間のデータをカテゴリーデータによって解析する数量研究。患者の死亡発生件数とPTの実施の関連性を調べた。PTを実施している患者において、2001年10月1日より1年間における死亡の発生数を調査し、入院してから死に至るまでの時間において、PTが創出する身体活動量との関連性を、COX回帰分析にて解析した。調査期間中に死亡に至ったケースを調査済みケース、対象事象で死亡に至らなかった事象を打ち切りケースとした。予測変数(共変量)は高血圧、糖尿病、高脂血症、狭心症および不整脈などの既往の有無、肢位強度式身体活動量(以下PIPA)による臥床と非臥床モデル値の有無、週最低1回のPTの継続の有無による累積生存関数曲線への影響を求めた。シュミレーションの結果、男女とも低強度、臥位の24時間生活パターンを想定し、70歳男性50 kg、80歳女性45kgで、男1102kcal,女914kcalを算出した。これに40分間の座位からなる理学療法を実施したと想定し、それぞれ男で40kcal,女で34kcalを得た。PTによるPIPA創出を加えた身体活動量は男性1112kcal、女性923kcalで、基準値を下回った事象発生時を臥床モデル有りとした。研究倫理上の配慮は、調査時、患者の個人情報を研究目的以外に利用しないことを関係者に明言し、同意を得た。結果1】共変量の分布は、カテゴリ項目(男性数/女性数)で、高血圧(25/27 )糖尿病(12/8)、高脂血症(3/3)、狭心症および不整脈などの既往の有(10/14)、肢位強度式身体活動量(PIPA)による臥床と非臥床モデル値の有無(7/5)、週最低1回の理学療法の継続の有無(6/1)であった。ガンの症例は2例であった。事象発生件数(死亡数)は(7/2)であった。結果2】年間死亡数と身体活動量の関連性は、統計学的に有意であることが確認された。死亡累積関数曲線におけるCOX回帰係数のB係数は高血圧1.753、糖尿病0.179、高脂血症-0.373、狭心症および不整脈などの既往の有無-0.764、PIPAによる臥床と非臥床の有無-5.949、週最低1回のPT継続の有無18.479であった。有意確率はPIPAのみP<0.01を示した。高血圧症、糖尿病はそれぞれ単独の場合、生存確率を高めた。結論】身体活動量は生存時間に関連することが示された。PIPAでPTの数量化に成功した本手法はEBMにおける生存研究へのメタ分析等にも供することが期待される。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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