理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP270
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調査・統計
長期経過した患者に対する理学療法評価の判断要因
*庄司 浩石川 さくら高部 雅子西村 由香石橋 晃仁吉尾 雅春
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抄録
【はじめに】私達は患者に関わる際、長期経過したことで患者の可能性を見落としていないか、という疑問を感じている。そこで今回、長期経過した患者に関して、理学療法士(以下PT)が評価する上で、どのような要因に着目しているのか、患者の将来の見解に対する判断基準をどのように捉えているのか、それらの傾向を調査した。【対象・方法】対象は、当院介護保険病棟に入院中で、障害老人の日常生活自立度判定基準ランクBと判定された患者17名(男性4名、女性13名、平均年齢83.6±5.9歳、在院日数1321±1011.2日、主疾患;脳血管障害16例、心疾患1例)とした。これらの対象患者に対し、膝関節伸展筋力と立ち上がり時の介助量を評価した。膝関節伸展筋力は、膝関節屈曲90度位での等尺性膝関節伸展筋力を左右各2回ずつ、徒手筋力計(アニマ社製μTas MT-1)にて測定した。立ち上がり時の介助量はFIMの7段階基準を用いて評価した。次に、PT10名(平均経験年数3.3±2.2年)が同時に1名の患者に対し、30分以内で評価を行った。事前に各患者の入院日、診断名、合併症、両下肢関節可動域の情報をPTに提示した。ただし、膝関節伸展筋力と立ち上がり時の介助量の結果はPTには提示しなかった。評価内容は、ランクBにいる決定的要因の1から3位までを、環境因子を除く40項目から選択するものとし、それらを点数化した。さらに拘縮、麻痺、筋力低下、疼痛、痴呆、その他の6項目に分類し、患者17名の決定的要因の傾向を求めた。また、患者17名それぞれについて、自分が関わることでプラスの変化を期待できるか否かを判断した。【結果】1.対象患者について、ランクBである決定的な要因として、筋力低下(36.2%)、拘縮(22.0%)が大きな割合を占めていた。2.患者のプラスの変化を期待するPT数と膝関節伸展最大筋力の間で相関が見られた(r=0.837)。3.患者のプラスの変化を期待するPT数と膝関節伸展可動域の間で相関が見られた(r=0.623)。4.患者のプラスの変化を期待するPT数と立ち上がり時の介助量の間で相関が見られた(r=0.705)。【考察】長期経過した患者のランクBの要因として、PTは筋力低下や拘縮の程度を重視する傾向が認められた。評価について、PTは立ち上がり動作を実施・観察することによって、患者の筋力や可動域の影響を推測し、そこから患者の可能性を判断していた。今回の結果からは、どの程度の筋力低下や拘縮により、プラスの変化を期待する判断をしているのかまでは分からなかった。今後、これらの機能的側面を含めて、患者の可能性を見逃さないための関わりを見直す必要があると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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