抄録
【目的】車椅子とは病院で多用されている医療福祉用具の一つであり、特にリハビリテーション実施患者ではその利用率は高い。しかし当院では、その管理方法に統一性は無く、私たち理学療法士が日常業務内で車椅子の不良を発見することや、患者様に不良を指摘される機会は少なくない。そこで今回、院内車椅子の管理体制を確立し、車椅子による事故を防止する目的で院内車椅子の調査を実施し、対策を検討した。【対象と方法】平成14年7月と10月に当院が保有する車椅子の現状調査と点検を実施した。調査・点検に際しては、独自に作成した調査表及び点検表を用い、理学療法士6名にて実施した。【結果及び考察】院内の車椅子総台数は117台であった。使用年数は、5年ごとにほぼ均等な割合で保有されていたが、不明なものも38%と多く、各部署での管理体制の不備が窺われた。一回目の点検の結果、総不良箇所数は107箇所で、それを不良程度別に分類すると、軽度の不良(以下A群)29箇所(27%)、中等度の不良(以下B群)55箇所(52%)、重度の不良(以下C群)23箇所(21%)であった。二回目の点検では、総不良箇所数67箇所で、A群34箇所(52%)、B群28箇所(41%)、C群5箇所(7%)であった。A群の主な不良原因は、駆動輪の磨耗、シートの一部破損等であり、軽微な不良を認めるが、そのまま使用可能と判断し、一回目の点検後も継続して使用していた。しかし、2回目の点検では、同様の不良が増加しており、今後は、コストの問題も含め、一部シートの張り替えや部品の交換を行うか、または新しく車椅子を買い換えたほうがよいのか検討していく必要があると考えた。B群の主な不良原因は、ブレーキ制動・操作不良、駆動輪の空気圧低下、キャスターの回転性低下、各部ねじの緩み等であり、この程度の不良は走行に対する影響力が大きく、不良が直接事故につながる危険性が高いと判断し、一回目の点検終了後速やかに院内の修理部署へ修理依頼した。その結果、ほぼ調整のみで修理可能であった。しかし、二回目の点検では、ブレーキ操作、キャスターの回転性など、頻回に稼動する部位では再び同様の不良が生じており、今後は、定期的な調整に加え、業者に点検依頼し、部品交換の必要性を判断してもらう必要があると考えた。C群の主な不良原因は、ブレーキの操作がゆるい、フレームの一部破損等であり、一回目の点検後、業者より部品を取り寄せ、院内の修理部署で部品の交換を実施した。そのため、二回目の点検では不良箇所数は減少しており、対応は良好であると考えられた。【まとめ】今後は定期的な点検を継続すると共に、理学療法士だけでなく、患者様とより身近に接する職員にも車椅子に関する知識や基本的な構造に対する教育を行い、さらには、車椅子業者によるより専門的な立場からのチェックを受けることにより、院内の車椅子管理と、事故防止に努めていきたいと考える。