理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP301
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運動・神経生理
座位での側方移動距離が骨盤側方傾斜角度と腹斜筋群の筋積分値に及ぼす影響
足底接地した座位としていない座位との比較
*渡邊 裕文蔦谷 星子大沼 俊博三好 裕子山口 剛司鈴木 俊明
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抄録
【はじめに】座位での活動性の向上は、様々な日常生活動作に大きな影響を与えると言われている。そのため座位における治療場面は、様々な疾患の理学療法場面で用いられる。特に脳血管障害患者では、麻痺側への重心移動はもちろん非麻痺側への重心移動も促していかなければならないが、麻痺側および非麻痺側の問題によりこの動作が困難なことが多い。我々は第41回近畿理学療法学術集会にて、座位での側方移動距離が骨盤側方傾斜角度と腹斜筋群の筋積分値に及ぼす影響について報告した。この時移動側腹斜筋群は移動距離が増大してもそれ程変化を認めず、移動側体幹筋群の筋活動を促していく場合、姿勢や移動方向などの工夫が必要であることが考えられた。そこで今回は座位の条件を足底接地した場合とそうでない場合の二通りとし、その違いについて同様に検討したので報告する。【対象と方法】対象は、健常男性7名、平均年齢は28.9歳であった。まず被験者に足底が床に接地していない座位で両肩関節90度外転位を保持させた。この状態で筋電計ニューロパック(日本光電社)を用いて、腹斜筋群の筋積分値を測定した。電極位置として探査電極を上前腸骨棘上方5cmとし、基準電極をそれぞれ上前腸骨棘とした。皮膚インピーダンスは5キロオーム以下となるよう前処置した。1回の測定時間を10秒間とし3回測定した。次に自作の側方移動距離測定器を外転させた指尖に配置し5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cmと側方移動させ、同様に筋積分値を測定した。また骨盤の側方傾斜角度を確認するため、両側の上前腸骨棘にマーカーを添付し、前方よりビデオ撮影した。次に上記同様の測定を足底接地した座位にて実施した。なお測定中頭部は床面と垂直に、視線は前方の一点を注視させ、両側上肢は肩関節外転90度位から床面と水平位を保持したまま側方移動させるよう指示した。【結果および考察】骨盤の側方傾斜角度は、両施行とも移動距離の増大に伴い増加した。両施行間での有意差は認めなかったが、足底接地した場合の方が若干の低値を示す傾向にあった。腹斜筋群の筋積分値相対値は、移動側においては移動距離の増加に対し変化を認めず、反対側では移動距離の増大に伴い増加した。これらのことは両施行間で同様な傾向を示し、施行間での有意差は認めなかった。しかし反対側腹斜筋群では、足底接地した座位で軽度高値を示す傾向があった。佐藤らは、端座位における側方への移動ではまず頚部の運動から始まり、第4胸椎の傾斜が起こると反対側の脊柱起立筋と外腹斜筋が働くと述べている。これは体幹と骨盤を結合させる作用であると考えられている。本研究における両施行とも、座位での側方移動に対し反対側の体幹筋群により体幹と骨盤を結合させ、姿勢保持を行っていると考えられた。座位での側方移動における腹斜筋群の働きは足底接地していてもしていなくてもそれ程大きな変化はなく、より移動側の腹斜筋群の働きに注目する場合、姿勢や移動方向の工夫が必要であることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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