抄録
【目的】当院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングとしてアンケート調査を実施している。その後、終夜間ポリソムノグラフィー(PSG)を施行し、SASの確定診断を行っている。今回、我々が行ったアンケート調査とSAS重症度との関連性を検討し、スクリーニングとしての有用性について考察した。【対象】対象は、アンケート及びPSGを施行し、SASと診断された147名(男性120名、女性27名)である。 【方法】対象者の属性として、年齢、性別、BMI、%FAT、無呼吸低換気指数(AHI)、アンケート得点の6項目についてカルテより抽出した。アンケート調査票は、当院スリープセンターで作成したもの(NSC)であり、睡眠時、覚醒時各8項目の合計16項目である。応答は、「はい:1」、「いいえ:0」で回答してもらい、計16点満点で表した。SASの重症度は、軽度群(AHI:5-15回/時)、中度群(AHI:15-30回/時)、重度群(AHI:30回/時以上)に大別されており、それぞれ46名、29名、72名であった。AHIの平均は軽度群:8.6±2.6回/時、中度群:22.6±4.7回/時、重度群:59.9±21.3回/時であった。今回、アンケート調査結果とその信頼性、SAS重症度とアンケート調査結果との関連及びSAS重症度が影響を受ける因子について検討した。統計的手法は、統計ソフトSPSSを用いて分析し、危険率は5%未満とした。【結果】(1)アンケート調査結果:アンケート得点の平均は7.3±3.0点、軽度群6.4±3.3点、中度群7.7±2.8点、重度群8.0±2.7点であり、睡眠時ではそれぞれ4.7±1.7点、4.2±1.9点、4.9±1.4点、5.2±1.5点で、覚醒時では2.6±1.8点、2.3±2.0点、3.0±1.9点、2.8±1.6点であった。また、調査票全体の信頼性係数はClonbackαで0.70であった。(2)SAS重症度とアンケート調査結果との関連:重度群は、アンケート得点(r=0.36、p<0.01)、睡眠時得点、覚醒時得点の全てと相関を認め、軽度群・中度群は相関を認めなかった。(3)SAS重症度が影響を受ける因子について:AHIを独立変数とし、互いに相関がなかった性別、年齢、BMI、アンケート得点を説明変数として、重回帰分析を行った。その結果、年齢を除く3項目において有意な関係が認められた。【考察】アンケート内容に関しては、信頼性係数が0.70であり、十分ではないが満足できるものであった。重度群はアンケート得点と相関を認め、重度群をスクリーニングできることが示唆された。しかし、軽度群、中度群は相関を認めず、スクリーニングすることはできなかった。SASは男性及び肥満者に多く、今回の結果では、SAS重症度と性別、BMIに加えてアンケート調査とも関連性を認めた。今後、軽度群、中度群をスクリーニングできるようなアンケート調査票の改訂が必要であると思われる。