抄録
【目的】昨年、介護支援事業者への福祉用具に関する事故調査およびその分析を行ない、継続研究として本年、事故原因で最も多かったヒューマンエラーや管理業務の未熟に対して研修会を実施した。今回、この研修会を通して得られた介護支援事業所の安全管理の現状と事故低減対策として介入した研修会の教育効果について検証した。【対象と方法】昨年の研究で送付した先(千葉県印旛村指定介護支援事業者のすべて)に再度研修会案内を送付し、参加された42名(42.8±10.9歳)を対象とした。方法は、研修会の開始前と終了時に質問用紙への記入とした。なお、質問項目を決断する役割のない対象者の回答は、あるべき行動を推測して回答するよう指示した。研修内容は、「印旛村における福祉用具の事故とその分析」「安全管理の一般的理解」「医療事故の現状と介護事業における安全管理の必要性」「介護事業における安全管理の目的」「安全管理(リスクマネジメント)関連用語の理解」「安全な医療を提供するための10の要点」「専門職としての基本姿勢」「安全管理のプロセス紹介」「リスク分析手法の紹介」であり3時間の講義を行った。【結果】参加者の基本属性および安全管理の現状は次の通りである。所属施設は、居宅サービスのみが14、施設サービスのみが6、両方が22であった。職場での役割は、経営責任者6、施設責任者2、部課長級4、係長主任級10、他20であった。職場にリスクマネジャーが配置されている施設は、有7、無34であり、安全管理(リスクマネジメント)委員会の有無については、有が6、無が22、検討中が5であった。事故発生後の当事者への教育の有無は、有9、無25であった。質問結果は次の通りである。設問が研修会前と終了時に同じであった「安全にかける費用の割合は?」は、32%から35%に上がった。研修会終了時の設問では、「事故対策には何が必要か?」は、介護者教育が24から19、バリアフリー6から4、管理者教育4から16、利用者教育2から1、福祉用具の完成度2から0、と変化した。「研修会を通して事故対策への自信」は、上がった17、変わらない15、下がった4であった。「安全管理常設委員会を作るか?」は、作る(ある)10、検討23、作らない0であった。「事故後の研修をするか?」は、する20、検討15、しない0であった。「次の研修会に友人を誘うか?」は、絶対薦めない0、薦めない2、薦める28、ぜひ薦める7であった。「この研修会への不満は?」は、不満1、少し不満15、満足18、非常に満足5であった。【考察】研修会によって、参加者全員に安全管理の重要性や安全教育の必要性を認識させることができた。しかし、約3割の参加者は研修内容への不満を表明したことから、研修会による安全教育では、参加者の実務レベルに応じた教育目標と内容にする必要性が示唆された。個別教育のための教材としては、VTRや冊子やインターネット利用した教育方法が考えられる。