主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
回次: 72
開催日: 2025/09/07 - 2025/09/19
p. 56-
海藻は周囲の海水から直接金属元素を吸収し、蓄積する一次生産者であることから、海洋の化学環境を反映すると考えられ、沿岸域の海洋汚染の評価に広く利用されてきた。本研究では、ワカメ(Undaria pinnatifida)の微量元素濃度を部位ごとに測定し、各元素の海水からの濃縮係数、部位ごとの濃度変動率、そして海水中での化学的性質の観点から、ワカメの金属元素の取り込みの様態の把握を試みた。多くの元素において、葉の根元部から先端部にかけて濃度が減少する傾向が見られ、これはワカメの生長過程における先端部から根元部への栄養供給によるものと考えられた。また、滞留時間が短い除去型・栄養塩型の元素は高い濃集傾向を示し、滞留時間が長い保存型・栄養塩型の元素は、部位ごとの濃度変動率が小さい傾向を示した。このことから、海水の元素がワカメの生長と代謝に寄与して能動的に細胞内に取り込まれる場合と代謝に依存せず、表面に吸着する場合があることが示唆された。