理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RO543
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教育
理学療法学生の就職決定因子についての分析
*岩月 宏泰佐藤 秀一
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抄録
【緒言】現在,20代前半の若者達は物質的に恵まれたなかに生まれ育ってきた.この世代の特徴は自分の「気分」というものに影響を受けやすく,自分の本当にやりたいことに出会いたいという見えない夢を追い求めているようみえる.新卒理学療法士の中にも現職場に満足出来ず「自分探し」のために早々と転職,離職を行ったり,潜在的に考えている者も増えている.このため,学校側でも最終年次の理学療法学生(以下,学生)に就職指導する上で,彼らの望む仕事の条件やその結果に対する期待について確認しておく必要性を感じている.そこで,本研究では学生が就職や仕事について何を重視しているかを測定し,就職指導のあり方について検討した.【方法】対象は北海道の理学療法士養成施設の在校生に無記名の自記式質問紙調査を実施し回収できた113名であった.調査票はフェイスシート(年齢,性別,学年など),職業志向尺度(若林ら,25項目),規範意識と私生活主義測定尺度(久世ら,33項目),ほかから構成されていた.なお,分析方法には因子分析および一元配置の分散分析を用いた.【結果と考察】1)回答者の基本属性;性別は男性44名,女性69名であり,平均年齢は21.3±1.2歳であった.2)職業志向尺度:因子分析(バリマックス回転後)の結果,解釈可能な3因子が抽出され,各因子の命名は過去の研究に従った.第1因子には「昇進の可能性,休日の数・勤務時間の短さ,仕事の気楽さ」に因子負荷量が高く「労働条件」と命名した.第2因子には「仕事仲間とのよき人間関係,仕事環境の快適さ」に因子負荷量が高く「人間関係」と命名した.第3因子には「仕事の内容が複雑で変化に富むこと,仕事上の責任の重さ」に因子負荷量が高く「職務挑戦」と命名した.3因子の信頼性係数αは「労働条件」.86,「人間関係」.82および「職務挑戦」.77であった.また,各要因とも性別,学年間および年齢階級間で有意な効果を認めなかった.本研究の結果,理学療法士を志向する学生においても仕事に対する期待(動機)は「職務挑戦」といった内発的報酬よりも「労働条件」「人間関係」といった外発的報酬に依存する傾向を示した.つまり,学生は仕事を通じてのみ人間は社会的な存在となるといった古典的な労働観は持ち合わせていないことを意味しているのである.こうした学生及び新卒理学療法士にキャリアを形成させるためには,しっかりした就業意識,職業人としての自覚を持たせることが重要である.そのため,学校側は在校中から学生に仕事への期待を聞き出すと同時に職場からの期待や要望を理解させ,就職後早期に学生の傍観者意識を当事者意識に変えることができるような働きかけが必要と考える.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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