理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RP203
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教育
OSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験)試行に対する学生の認識
-臨床実習前後のアンケートから-
*渡辺 純山路 雄彦松田 祐一浅川 康吉遠藤 文雄臼田 滋内山 靖坂本 雅昭
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抄録
【はじめに】 理学療法教育において,知識とともに技術の習得は重要な課題となっている。しかし,学生の基本的態度や臨床技能の教育については効果的な教材,評価方法は少ない。そこで,理学療法技術の学習効果を教官及び学生自らがより具体的に認識することを目的として,客観的臨床技能試験(以下,OSCE)を試行した。今回,OSCE後のアンケート調査を行い,学生のOSCEに対する認識と今後の改善点について検討したので報告する。
【方法】 OSCEは4月から実施方法のマニュアル作成を開始し7月に実施した。模擬患者は変形性膝関節症と脳血管障害の2例とし,変形性膝関節症では脈拍・血圧測定,移乗動作,関節可動域・筋力測定,脳血管障害では医療面接(情報収集),バランス評価を課題とした。模擬患者の試験時間は各々15分間とした。 4年生18名を対象に,OSCE実施直後(以下,実習前)と1期目総合臨床実習終了後(以下,実習後)に記述式のアンケート調査を行った。各課題の臨床実習への参考程度は5段階評価とした。各課題の時間配分,難易度とOSCEの意義,改善点については自由記述とした。尚,実習後は実習施設の種類,対象疾患,患者とのコミュニケーション上の問題点についても調査した。
【結果及び考察】1)実習前アンケート:各課題の5段階評価は「参考になる」,「非常に参考になる」の肯定的回答が50%以上であった。自由記述における時間配分は「適当」との回答が多かった。難易度についても「適当」との回答が多かったが,移乗動作で「簡単でした」の回答があった。OSCEの意義については「まとめになる」「参考になる」が多かった。2)実習後アンケート:臨床実習施設は一般病院12,大学病院4,小児施設2であった。担当疾患別学生数は,整形外科疾患14,中枢神経疾患12,小児2,その他5名であった。5段階評価では情報収集について83%の学生が肯定的であったが,他の課題では肯定的回答が実習前より減少した。血圧・脈拍測定,バランス評価では「どちらともいえない」が,移乗動作では「あまり参考にならない」が増加していた。これらの原因としては,模擬患者の設定と担当症例との差異によるものと考えられる。OSCEの意義については「実習への準備が出来た」「患者への説明を意識できた」との回答が多く,学生自身の臨床技能を認識するきっかけとなっていた。コミュニケーション上の問題では,40%の学生が困難を感じていたが,実習中に問題を解決していた。3)今後の改善点:模擬患者の障害程度,病態の評価・治療に関する課題追加の再検討が必要と考えられる。また,これらの問題を解決することで,臨床実習参加についての総括的評価への利用も考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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