引火点が常温を超える物質の蒸気の放電着火エネルギーを簡便に測定する装置を開発した.これを用いて,国内で一般的に用いられている三種類のドライクリーニング用溶剤(商品名White N―10, Isopar L およびSilicon Plus α)の蒸気と空気との混合気の着火特性をさまざまな条件で測定した.いずれの溶剤も,150 ℃における最小着火エネルギー(MIE)は化学量論比よりもやや高い濃度で得られ,0.21~0.36 mJ であった.混合気の温度が高いほどMIE は小さくなった.不着火となる酸素濃度は11~12 %であったが,減圧下においては10 kPa でも着火した.Silicon Plus αは三種類中最も引火点が高いが,最も広い爆発濃度範囲を有するとともに,同温度でのMIE も最も小さいものであった.さらに,蒸気濃度によって爆発後に生成される物質の変化を観測した.