理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RP820
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教育
早期臨床見学前後の学生の変化
社会人経験者,大学卒業者,高校卒業者の違い
*堀 秀昭伊藤 清吾
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抄録
【はじめに】昨年本学会において、社会人経験者が大学及び高校卒業の学生と違い、学習意欲、目的意識が高いことを報告しており、その理由として、仕事を経験していることで、仕事に対するイメージを持ちやすく、医療関係の仕事に必要とされる情意領域、認知領域、精神運動領域をバランスよく持っているのではないかと考察した。今回は仕事に対するイメージを持たせることを目的に早期臨床見学を実施し、その前後で社会人経験者、大学卒業者、高校卒業者の学生がどのように変化するか検討する。【方法、対象】当校理学療法学科1年生31名(男性15名、女性16名)に対して、入学1ヶ月後(5月中旬から6月上旬)に、1グループ8名で約2時間、臨床見学を実施した.この対象者を、社会人経験者8名(29.4±4.2歳)、大学卒業者8名(23.0±1.6歳)、高校卒業者15名(18.0歳)の3群に分類して検討した。また見学の前後で「理学療法士にとって必要なこと」というテーマでグループワークを行った.グループワークの方法は、ブレインストーミングの手法を用い、そのまとめ方としてはK-J法にて行った。K-J法の分類は、1)情意領域、2)認知領域、3)精神運動領域の3分野に分類し、見学前後で各3分野の変化をχ2検定にて統計処理し、情意領域については、基本的態度、医療態度(マナー、モラル)に再度分類し検定した。【結果】臨床見学前後における各項目の割合の変化は、社会人経験者は情意領域66.7%から52.8%、認知領域は16.6%から22.2%、精神運動領域は16.7%から25.0%へと変化し、大学卒業者は、情意領域76.4%から56.9%、認知領域は13.9%から18.1%、精神運動領域は9.7%から25.0%へと有意に(p<0.05)変化し、高校卒業者は、情意領域84.4%から65.9%、認知領域は7.4%から8.1%、精神運動領域は8.1%から25.9%へと有意に(p<0.01)変化した。また情意領域では、社会人経験者は、基本的態度の割合が56.3%から52.6%、医療態度(マナー)が33.3%から36.8%、医療態度(モラル)が10.4%から10.5%、大学卒業者は、基本的態度の割合が72.7%から58.5%、医療態度(マナー)が25.5%から39.0%、医療態度(モラル)が1.8%から2.4%、高校卒業者は、基本的態度の割合が65.8%から57.3%、医療態度(マナー)が28.9%から40.0%、医療態度(モラル)が5.3%から6.7%と、臨床見学前後でその割合に違いはなかった。【考察】今回の臨床見学により、3群とも精神運動領域の割合が増加した。これは、自分の目指す理学療法の治療場面を見学し、将来像の具体的なイメージが確立されたためと考える。3群の比較では、社会人経験者は情意領域、認知領域、精神運動領域の割合が見学前後に変化はないが、大学卒業者、高校卒業者は臨床見学を行なうことにより、その割合が有意に変化し、より職業イメージが持てるようになったのではないかと考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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