理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RP823
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教育
学生による授業評価の有用性
*酒井 吉仁荻島 久裕
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抄録
【はじめに】学生による授業評価はもっとも効果的な授業改善の方法の1つだと考えられている。我々は担当科目の授業終了後に学生が簡易に記載できる授業評価表を作成、利用し、評価結果をもとに視聴覚教材の調整や教育方法に修正を加えてきた。今回学生による授業評価と試験成績について検討を加え、学生による授業評価の有用性について若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】対象は評価表記載に同意した平成12、13年度の当校理学療法学科1年次在学の学生62名とした(男性29名、女性33名、平均年齢18.87±3.05歳)。評価授業科目は運動学の30時間分であり、初回時に授業評価の目的、評価表記載方法の説明を行い、毎授業終了後に評価表への記載を求めた。評価表は実用性の観点から10段階法を用いた授業評点とコメント欄のみとした。年度間の差を見るためにt-testを、講義細項目間の検定には分散分析を用い解析を行った。また授業理解度を表す指標として試験成績を用い授業評点との相関分析を行った。
【結果】10段階法による授業評点の平均値は平成12年度7.03±1.23、平成13年度7.43±0.97であり、両年度間に有意な差は認められなかった。平成12年度の講義細項目別にみた授業評点では膝関節が6.10、股関節が6.56と低値を示したが、平成13年度には7.37、7.89と有意に改善傾向を認めた(p<0.01)。授業の理解度を示す試験成績の平均値は平成12年度62.12±18.04、平成13年度74.21±15.29であり、両年度間には有意な差を認めた(P<0.01,unpaired t-test)。授業評点と試験成績についてはr=0.22と相関関係はほとんど認められなかった。コメント欄の記載率は100%でありほとんどが授業理解に関するものであった。内容は肯定的なもの否定的なものに分かれ、肯定的なものには「触診や骨模型を利用した実習などによりよくわかった。楽しかったのでもっと学習したい。」、否定的なものには「解剖学で習っていないのでわかりにくかった。学習する量が多い。早い。」といった意見が多く見られた。個々の肯定的な内容記載時の授業評点と否定的なものとの平均値の差は1.53±0.96(P<0.01,paired t-test)で有意に肯定的な授業評点が高かった。
【考察】今回の結果から、学生による授業評点は科目終了時の試験成績とは相関がなく、最終的な学習到達度を予測するものではないが、学生個人のその時々の授業に対する理解度を表していると考えられた。学生による授業評価を活用することにより試験成績に改善が認められた。その時々の学生の理解度を知ることは、教育者が教授錯覚に陥ることなく学生の学習診断を可能とし、教育内容や教育計画(系統学習と経験学習のバランス)に修正を加え、授業にフィードバックすることで、学生の学習への動機付けに結びつくと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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