理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 577
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神経系理学療法
ドリームジョイントを継手に用いた膝装具の紹介
歩行能力に改善がみられた1症例を通して
*弓場 裕之川平 和美下堂薗 恵堀口 雅仁山之内 麻矢長谷場 純仁浅井 洋
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抄録
【はじめに】膝装具の主な目的に、低下した機能の代償、膝の変形防止や除痛効果が挙げられる。また膝継手の構造も様々なものが開発されているが、膝関節を機能的に用いながら膝折れ防止可能な継手は皆無である。当センターでオルソ社製のドリームジョイントを使用した膝装具を胸椎Th12圧迫骨折による不全対麻痺の患者に用いて歩行能力改善を試みた。ドリームジョイントの使用によって膝折れが消失し、立ち上がり動作の膝の屈曲活動を妨げず、下肢の安定した支持性と実用歩行を獲得した。
 今回1症例における使用経験と関節角度リアルタイム計測システム(Biometrics社製)(以下DAS)を用いた歩行時の膝屈曲角度の客観的評価を行ったので報告する。
【症例】78歳 女性。診断名:Th12圧迫骨折による下肢不全対麻痺。後縦靱帯骨化症(OPLL)Th10-11,L3-4、変形性膝関節症、骨粗鬆症。現病歴:H15.5.30 転倒後,徐々に下肢筋力低下、疼痛悪化。H15.7.17 リハ目的で当センター入院。入院時、右下肢優位に筋力低下が顕著で股関節運動全てMMT3,膝以下は4レベル、左下肢はすべて4レベルであった。ADLはベッド上動作が全て自立。移乗、立位、歩行は全て要介助レベルであった。特に障害の強い右膝に対し膝装具処方後、装具装着にて立位自立し、T字杖歩行にて院内歩行自立した。膝装具処方時と評価時に患者に対し研究の主旨と内容、プライバシーの保護についての説明し同意を得た。
【評価内容】評価は10m歩行時間を装着時と非装着時に計測した。膝装具装着時と非装着時の歩行時の膝関節角度の変化をDASにて片側5m往復で評価した。患者は合併症に両側膝関節症があり、両側ともに膝伸展はー15°であったが、荷重時に痛みはなかった。歩行はT字杖を用いて行った。
【結果】10m歩行時間は装着時52秒58歩で非装着時は78秒80歩と装着時の歩行時間が早く歩幅も長かった。歩行支持期の最大荷重時の膝屈曲角度は、非装着時は膝折れにあたる急激な膝屈曲が確認されたが、装着時は膝屈曲が緩徐になっていた。このことから荷重時のジョイントの制動により膝折れを回避できていることが確認できた。
【考察とまとめ】今回、オルソ社と浅井義肢装具製作所の協力を得て製作したドリームジョイント使用の膝装具は、膝折れの出現する症例において、立ち上がり動作時の膝伸展は抑制せず、立位の状態で屈曲方向に制動をかけることで不規則的に出現する膝折れが抑制され、膝の支持性とともに患者の荷重時の心理的不安を取り除くことができることがわかった。今回は比較的軽症であったが、ドリームジョイントの制動で膝屈曲を抑制することで、座り込み動作も尻餅をつくなどの急激な不安定動作の回避も可能なのではないかと推測している。今後は麻痺肢に限らず、術後や変形による膝の不安定性のある症例に対する適用についても症例を重ね検討したい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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