理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 152
会議情報

骨・関節系理学療法
人工膝関節全置換術後患者におけるFRT距離の左右非対称性について
*米沢 将和嶋田 誠司櫻田 圭介岸野 美代子西谷 知美木村 善明佐々木 誠大澤 諭樹彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】人工膝関節全置換術(TKA)後患者は術側の下肢筋機能の低下や膝関節部メカノレセプターからの感覚入力の制限が一因となって,動的条件下での立位バランスが正常から逸脱していることが予想される。そこで今回,動的立位バランス能力を反映するFunctional reach test(FRT)の成績が,健常群よりTKA群で不良であることを確認し,それが下肢筋力の低下および深部感覚入力の不備と連動して生じるのかを検討した。同時にTKA群においてFRTの成績に左右非対称性があるのかどうかを調べ,下肢筋力および深部感覚入力の左右差に付随して生じているのかを検討した。
【対象と方法】2001年3月から2003年6月の間に当院整形外科でTKAを施行した患者のうち実験の同意が得られた6名(平均年齢74.3±4.2歳)と,年齢を一致させ性別をほぼ一致させた整形外科的疾患のない健常者6名(平均年齢69.3±8.5歳)を対象とした。各群において下肢筋力,膝関節位置覚,FRT距離を測定した。下肢筋力の測定はアニマ社製μTasMT-1を用い,膝伸展筋力,膝屈曲筋力,足底屈筋力を3回測定し,平均値をそれぞれ体重で除した値を用いた。膝関節位置覚はホルター筋電計(Mega Electronics社ME3000P)を用いて,閉眼端坐位で検者が他動的に示した膝関節屈曲60°を再現させ記録し,目標角度からの差の絶対値を用いた。FRT距離の測定は1回の練習の後に左右それぞれ3回測定し平均値を採用した。健常群とTKA群でFRT距離を比較し,下肢筋力の低下および深部感覚入力との関連について検討した。ならびにTKA群においてFRT距離の左右非対称性があるのかどうか比較し,下肢筋力および深部感覚入力の左右差と関連して生じているのかどうかを検討した。
【結果】TKA群と健常群で年齢,性別,身体特性に統計学的有意差を認めなかった。健常群と比較して,TKA群のFRT距離ならびに大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋のすべての筋力は,有意に低値であった。しかし関節位置覚の誤認角度には群間差を認めなかった。各測定値の対側との比較では,FRT距離はTKA群,健常群ともに非対称性を認めなかった。TKA群では,大腿四頭筋と下腿三頭筋の筋力が術側に比べて非術側で有意に高値であった。各測定値の左右差は,いずれのパラメータにおいても群間差を認めなかった。
【考察】FRTの成績が健常群よりもTKA群で不良であったことは,深部感覚入力以外の要因が影響し,下肢筋の筋力低下が原因の一つと考えられた。TKA群では,一部の下肢筋力が術側で低下していたが,FRT距離は健常群と同様に非対称性を認めなかったため,筋力低下の非対称性だけではFRT距離への影響は少ないものと考えられた。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top