理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 334
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骨・関節系理学療法
筋収縮、弛緩時における膝屈伸に伴う膝蓋骨側方移動測定の試み
*門間 可奈子嵯峨野 淳
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抄録
【目的】
膝蓋骨のアライメント異常は,膝前部痛等の膝関節障害を招く一因と考えられている.膝蓋骨のアライメント測定は,正確にはX線による膝蓋骨軸射像が一般的だが,理学療法の臨床評価においては静的肢位で行われるものであり,膝の動きに伴う膝蓋骨アライメントの変化,筋収縮の影響による報告はあまりない.そこで今回の研究では, 筋収縮時と弛緩時における膝屈伸時に伴う膝蓋骨の側方移動を測定することを試み、その精度について検者間信頼性,検者内信頼性を検討した.
【方法】
被験者は21歳~37歳(平均26歳)の男3名,女5名の計8名とした. BIODEX SYSTEM3(酒井医療製)に自作のアタッチメントを用いてデジタルカメラ(SONY製)を固定した膝用アタッチメントを取り付けた.デジタルカメラは常に膝蓋骨に平行となるよう膝用アタッチメントに90度に固定した. 被検者を体幹,右下肢をBIODEX付属のベルトで固定し,膝屈曲90度,60度,30度,0度で膝蓋骨底部・尖部・内側部・外側部、大腿骨内外顆にランドマークを付け,デジタルカメラにて膝蓋骨を撮影した.検者は2名で,撮影は各角度において等尺性収縮時と弛緩時の計8回行い,それをもう1度繰り返した.更に日を変えて同様に撮影を行った.撮影後,画像をプリントアウトし,大腿骨内・外顆を結んだ線の中点を通る垂線を基準線とし膝蓋骨の横側への移動距離をミリメートル単位であらわした.測定値は2回の平均値とした.統計処理は級内相関係数(ICC)を用い、検者内信頼性、検者間信頼性を検討した.
【結果と考察】
弛緩時における0度,30度,60度,90度の各関節角度での検者内信頼性{ICC(1,2)}は,検者1がそれぞれ0.82, 0.89, 0.95, 0.91, 検者2がそれぞれ0.71, 0.85, 0.87, 0.90であった。また等尺性収縮時においては検者1が0.83, 0.85, 0.83, 0.55, 検者2がそれぞれ0.72, 0.87, 0.80, 0.65,であった.弛緩時における0度,30度,60度,90度の各関節角度での検者間信頼性{ICC(2,2)}は、それぞれ0.91、0.95、0.95、0.90であった。また等尺性収縮時においては0.95, 0.94, 0.96, 0.92であった.以上の結果から、膝の可動域中間での(30度、60度)膝蓋骨の検者内信頼性は高いものの、伸展0度,90度屈曲位における検者間信頼性は低い値を示した.膝伸展位では膝蓋腱や膝蓋下脂肪体の隆起が、90度屈曲位では膝蓋骨尖部が顆間窩に入り込むために触診が難しくなることが要因のひとつと考えられた.また弛緩時より収縮時の検者内信頼性が低くなっていることは,膝蓋腱の緊張と大腿四頭筋の収縮により,触診が難しくなることが要因と考えられた.このため測定誤差減らすために触診技術に熟練すること,数回測定し,平均値をとることがまた必要と思われた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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