抄録
【目的】生活習慣病の予防を目的とした運動療法の有用性はすでに確立され,各地で様々な健康教室が開催されている.運動療法の効果は2日に1回,20分以上で4~8週間以上継続しなければ効果がないと言われている.しかし有職者は上記の頻度や期間で運動を継続することは困難なことも少なくない.本研究の目的は健康教室の出席率が運動療法の効果にどのような影響を及ぼすか検討したので報告する.
【方法】対象者は冠危険因子を有する大学職員および外来患者で高脂血症あるいは糖尿病と診断された運動教室の参加に応募した男性11例,女性3例,計14例である.年齢は平均で56±8才であった.参加者の冠危険因子含有率は糖尿病48.3%,高脂血症72.4%高血圧44.8%および喫煙31.0%であった.2003年3月から5月の期間で週2回,午後6時から7時30分まで3ヶ月間,以下の内容で運動教室を施行した.運動内容はウォーキング,筋力トレーニング,レクレーション運動,ストレッチングおよびエアロビクス運動である.また健康教室として生活習慣病,動脈硬化および虚血性心疾患,運動療法,食事療法の講義を各1回実施した.測定項目は,運動教室前後で,身体測定(身長,体重,体脂肪率,脂肪量,除脂肪量,肥満係数(BMI),胸囲,腹囲,殿囲,皮脂厚),体力テスト(握力,反復横飛び,長坐位前屈, 閉眼片足立ち, 膝伸展筋力,Shuttle walking test;SWT),心肺運動負荷試験(最高負荷量,嫌気性代謝閾値,最高酸素摂取量など),呼吸機能(肺活量,努力肺活量,1秒量,1秒率)SF-36によるQuality of life(自覚的健康感)評価および血液生化学的検査(GOT,GPT,γGTP,Cr,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,HbA1c)を行った.その結果を出席率80%以上6例(A群)と未満の8例(B群)に分けその効果の相違を検討した.統計は対応のあるt検定を用い危険率5%を有意とした.
【結果および考察】A群は,身体測定(体重,体脂肪率,脂肪量,除脂肪量,BMI,胸囲,腹囲,皮脂厚),体力テスト(握力,SWT),心肺運動負荷試験(最高負荷量,最高酸素摂取量),呼吸機能(肺活量,努力肺活量,1秒量)高LDL血症などが有意に改善したが,B群には何れも有意な改善が見られなかった. 以上のことから運動教室の効果を得るためには出席率80%以上が必要であることが示唆された.したがって教室運営には,出席率を高めるために開催時間,運動の種類などの工夫が必要であると思われた.
【まとめ】冠危険因子を有する大学職員および外来患者を対象として,生活習慣病予防目的に3ヶ月間の健康教室による監視型有酸素運動を行った.その結果,体脂肪の減少,高LDL血症の改善が得られた.筋力,運動耐容能の向上が認められ,運動療法を安全に継続するための基礎体力の改善が得られた.その結果を得るためには出席率が80%以上になるような教室運営が必要である.