理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 367
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内部障害系理学療法
脳梗塞再発後にARDSを併発し、腹臥位呼吸管理を行った一症例
*藤本 好, 谷口 百恵, 萩原 良治, 木村 史良, 山本 謙太郎, 小林 潤也, 大森 惠, 石川 朗
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抄録
【はじめに】脳梗塞再発後ARDS(acute respiratory distress syndrome)を併発した急性期の下側肺傷害に対し、腹臥位呼吸管理を行い無気肺が著明に改善した.脳梗塞急性期での腹臥位呼吸管理について理学療法士としてのアプローチを再検討したい.
【症例】88才男性、アテローム血栓性脳梗塞(右脳梗塞).合併症は高血圧、糖尿病.既往歴はS63多発性脳梗塞(構音障害、軽度右麻痺)で入院、ADLほぼ自立レベル.現病歴はH15.7.28左手足に力入らず歩行不能、翌朝も症状残存のため当院受診し入院. JCS1、軽度構音障害、軽度左片麻痺呈し、車椅子介助レベル.点滴、抗血小板剤内服、高気圧酸素治療行う.胸部X線写真で右下肺野に淡い肺炎像認め抗生物質開始.H15.8.6梗塞巣拡大、JCS2、左片麻痺進行し臥床状態.併発していた肺炎が徐々に悪化しH15.8.7胸部X線写真での両側びまん性血管透過性亢進所見に加えPaO2/FIO2=139であり初期ARDSと診断、胸部CTでは両側胸水中等量、右下肺野に無気肺を認めた.ICUにて経口挿管、人工呼吸管理となる(FIO20.6、PSV3cmH2O、PEEP12cmH2O).翌日喀痰培養でクリプトコッカス肺炎と判明、抗真菌剤開始.
【経過】H15.8.8人工呼吸器設定CPAP(FIO20.35、PEEP12 cmH2O)に変更、腹臥位呼吸管理(2時間目標の腹臥位呼吸管理を1日2回施行)開始.平均バイタルサインは、臥床では心拍数90回/分、血圧180/65mmHg、呼吸数24回/分、SpO299%.腹臥位施行中で心拍数95回/分、血圧189/69mmHg、呼吸数24回/分、SpO299%と体位変換前後で安定.1回換気量は平均して臥位では480ml、腹臥位施行中530mlへ改善.PaO2/FIO2は平均して臥位で429、腹臥位施行中で464と酸素化が改善.腹臥位で本人の苦痛なく初回時は腹臥位1時間程度、日ごとに時間延長可能となり4日目で腹臥位2時間継続可能.5日目両側胸水消失、右下肺野の無気肺著明に改善.7日目人工呼吸器設定PEEP5 cmH2Oに変更.9日目一般病棟へ戻る.
【考察】脳梗塞急性期リスク管理の一つとして血圧管理があり、頭位の変化での変動により脳灌流圧変動を招き梗塞巣拡大の原因となりうる.本症例は脳梗塞発症後に2回再発していたが、下側肺障害に対するアプローチとして腹臥位呼吸管理の適用と判断.実施結果、血圧の変動が脳梗塞拡大に影響を及ぼさず円滑に遂行でき、無気肺に対しても著明な改善が見られた.脳梗塞急性期を合併した腹臥位呼吸管理を行う上で、全身管理への配慮、病棟スタッフと協力することが重要であると考えられた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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