抄録
【目的】ハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を用いた立位保持能力評価指標(以下,評価指標)を考案し,第39回学術大会において報告した。そこでは健常者と脳血管障害患者を対象とし,級内相関係数を用いて評価指標の再現性および,下肢Brunnstrom stage,10m歩行所要時間との関連性を示し,信頼性と妥当性を検証した。今回,評価指標の基準関連妥当性を確認するため,すでに妥当性が確認されているバランス能力評価法であるBergらによるFunctional Balance Scale(56点満点,以下,FBS)や,TinettiらによるPerformance-Oriented Mobility Assessment(28点満点,以下,POMA)を妥当性の基準とし,検討を加えたので報告する。
【方法】脳血管障害,腰痛,変形性膝関節症などを伴う患者,または加齢によりバランス能力の低下を示す者40名を対象とした。男性18名,女性22名,平均年齢74.3±10.1歳,平均体重55.4±10.6kgであった。本研究は被検者が十分な説明を受けた後,十分な理解の上,被検者本人の自由意志による同意が得られた後実施した。HHDはアニマ社製徒手筋力測定器μTas MT-01を用いた。評価指標の測定は同一検者が行った。被検者の測定肢位は上肢を体側に下垂位とし,足部は内側を平行に10cm離した立位姿勢とした。測定は理学療法室内で行い,履物は,普段履いている運動靴を使用した。また測定時はできるだけ倒れないように垂直位を保持するよう指示を与えた。抵抗は,被検者の腸骨稜に側方から,上前腸骨棘に前方から,上後腸骨棘に後方から,各部へ床面に対し水平にHHDを当て,徐々に力を加えた。床面から足底の一部が床から離れたところで圧迫を止め,その時の最大値を体重で除して測定値とした。前後左右無作為に6部位で各部位にて3回測定し,その平均値を採用した。同時にFBSとPOMAの検査を行った。評価指標の妥当性を検討するために,6部位での測定値の合計とFBSまたはPOMAとの関連性をスピアマンの順位相関係数を指標に検討した。さらにPOMAとの関連は,バランススコアと歩行スコアに分けて対応を評価した。
【結果】評価指標測定値は0.37±0.13kg/W,FBSは33.38±14.91点,POMAは16.73±9.66点であった。評価指標測定値はFBS測定値と正の相関(r=0.867),評価指標測定値とPOMA測定値とも正の相関(r=0.795),FBS測定値とPOMA測定値とにおいても正の相関(r=0.892)を示した。評価指標測定値とPOMAにおけるバランススコアとは正の相関(r=0.817),歩行スコアとも正の相関(r=0.699)を示した。バランススコアと歩行スコアとでは正の相関(r=0.803)を示した。
【考察】FBS,POMAとの相関係数結果より,高い関連性を示し,HHDを用いた立位保持能力評価指標の測定値の基準関連妥当性が認められた。