理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 511
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理学療法基礎系
高齢者の振り向き動作における動作分析(第2報)
―体幹回旋角度と下肢矢状面での検討―
*八木下 弓子石井 慎一郎飯田 達能
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キーワード: 振り向き動作, COG, 屈伸角度
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抄録
【はじめに】
第39回日本理学療法学術大会で,高齢者の振り向き動作において対側下肢の運動機能の重要性を報告した.今回はさらに下肢の矢状面での運動に着目し,体幹の回旋角度も含めて検討した.

【対象】
対象は高齢者(以下高齢群)7名(男性2名,女性5名,平均年齢69.6±1.5歳)とした.また対照群は健常成人(以下健常群)6名(男性2名,女性4名,平均年齢24.2±7.3歳)とした.

【方法】
被験者の体表面上にマーカーを装着し,三次元動作解析装置(VICON612VICON Motion Systems社製)にて左方向への振り向き動作を分析した.得られたデータから(1)身体重心(COG)の前後,左右方向距離,(2)体幹回旋角度,(3)左右股関節,足関節の矢状面上での屈伸角度を算出し,2群間での比較を行なった.各関節の回旋角度は静止立位からの回旋変化量として算出した.
【結果】
測定値はいずれも平均値で表す.(1)COG移動距離:左右方向において,健常群では0.032±0.016m,高齢群では0.032±0.027 mであった.また前後方向においては健常群で0.019±0.009 m,高齢群で0.027±0.0 09 mであった.(2)体幹回旋角度:健常群では34.85±6.09°,高齢群では33.87±8.78°であった.(3)関節角度:右股関節において,健常群では極値が伸展方向へ8.65±2.86°,高齢群では屈曲方向へ1.50±0.98°であった.また左足関節において健常群では底屈32.1±8.49°,高齢群では底屈5.9±1.69°であった.その他の関節角度に著明な相違は認められなかった.

【考察】
まず高齢群において,体幹の回旋角度は比較的保たれていることから,振り向き動作とは骨盤,下肢関節での回旋運動がより重要であることが推察される.次にCOGの移動距離の比較より,左右方向への移動距離に2群間で相違がないにも関わらず前後方向への移動距離が高齢群で大きいことが分かる.これは,何らかによって生じた回旋運動制限を屈伸運動で代償しているものと考えられる.振り向き動作時,健常群では反対側股関節は伸展位であるのに対し,高齢群では屈曲位を呈することから,対側股関節の運動機能が影響していることが示唆される.これはある関節の回旋制限を補償しているためであるのか,それとも股関節伸展・外転・外旋位での支持が困難なために生じた結果であるのかといったことが考えられる.さらに軸足である左足関節の可動性の低下も前回に続いて示され,唯一床に接している足関節の可動性も重要であることが示唆された.
今回の結果から,振り向き動作時のCOGの制御には振り向く側の足関節と反対側股関節が重要な役割を担っていることが示され,今後は身体的な特徴を加味した上で,上記のような因果関係を明確にしていきたい.
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© 2005 日本理学療法士協会
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