理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 517
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理学療法基礎系
リフティング動作方法の違いが重心動揺に及ぼす影響
―Stoop法とSquat法の違いについて―
*川崎 和代後藤 伸介池田 拓史稲沢 奈津美田端 智恵美中原 利恵
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キーワード: 重心動揺, Stoop法, Squat法
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抄録
【はじめに】リフティング動作を行う際、膝伸展位で行うStoop法は脊柱の筋骨格系、特に腰部への負担が大きいとされている。臨床的にも腰痛患者には膝屈曲位で行うSquat法でのリフティング動作を指導する。しかし、腰痛患者は腰痛症状が消失すると再びStoop法でリフティングを行っていることがしばしば見受けられる。このことに関し、下肢筋力の面から検討した研究は多くみられるが動作時の重心動揺の面から検討した研究は少ない。そこで本研究は、なぜSquat法よりStoop法が好まれるかに関し、動作方法の違いが重心動揺に与える影響に着目し検討したので報告する。
【方法】被検者は健常成人20名(平均年齢:24.6±2.2歳)で、実験の目的と方法を十分説明し同意を得た。重心動揺の計測は、アニマ社製重心動揺計GS-1000を用いてそれぞれ20秒間記録し、足圧中心の総軌跡長及び外周面積について検討した。測定に先立ち被検者には安静立位20秒間の重心動揺を計測した。ついで、軽量容器を用いて無作為的に決定した順序で、Stoop法とSquat法でのリフティング動作を連続5回ずつ実施した。リフティング動作は1回あたり4秒間で行い、その間の重心動揺を計測した。動作範囲は直立位から軽量容器の底辺が足関節内果の高さとなる位置までとした。次に、被検者毎に体重の10%と20%の重量物を用意し、それぞれを軽量容器に入れ各重量物につき先と同様にリフティング動作を連続5回ずつ実施した。各測定の間には、約90秒間のインターバルを設けた。統計解析には二元配置分散分析を用いた。
【結果および考察】Stoop法と比べSquat法では総軌跡長と外周面積は大きくなり、有意な差が認められた。また、無負荷、体重の10%、20%のいずれにおいても有意差が認められた。従って、リフティング動作においては持ち上げる物の重量に関わらず、Stoop法に比べSquat法は重心動揺が大きいことが示唆された。この原因として、Squat法は、膝関節伸展筋である大腿四頭筋の強い筋力が必要となることが考えられる。また、重心動揺のコントロールを足関節と膝関節とでも行うことが要求されるため身体平衡が不安定となることが考えられる。また、Squat法では動作中に足底を全接地していることが困難で、直立位から下肢屈曲に伴い踵が挙上し支持面が狭小している被検者が数名いた。このことも重心動揺が大きくなった原因と考えられる。今回の研究より、リフティング動作においてSquat法を指導する際、方法の指導のみならず下肢筋力強化や動的な重心動揺の改善も必要であることが示唆された。今後は、被検者の下肢筋力や足関節の可動域との関連についても検討していく必要がある。
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© 2005 日本理学療法士協会
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