理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 43
会議情報

神経系理学療法
成人脳性麻痺者における筋形態評価とADLとの関係
―超音波画像解析を用いた筋厚測定の結果から―
*大畑 光司中 徹南 哲市橋 則明坪山 直生
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】選択的運動制御の困難な重度脳性麻痺者では、正確な筋力を定量的に測定することが難しい。しかし筋力低下に応じた筋萎縮が生じていると考えられることから、筋厚などの定量的な形態測定が日常的な筋の使用状況を反映した値を示す可能性がある。本研究の目的は成人脳性麻痺者における四肢体幹の筋厚と日常生活活動との関係を明らかにすることである。
【対象と方法】本研究は京都大学医学部倫理委員会の承認を受け、保護者の文書による同意を得て行なった。対象は重症心身障害者施設に入所している19歳以上60歳以下の脳性麻痺者29名(男性18名、女性11名、平均39.1±10.7歳)とした。また運動能力分類システム(以下GMFCS)により対象者を分類し、それぞれのレベルによる筋厚の違いを検討した。またADLにおける立位の状況をA群(行なっていない)、B群(理学療法場面のみ)、C群(病棟でも行なう)の3群に分類した。さらにADLにおける寝返り、起き上がり動作について、それぞれにおける自立群と要介助群に分けた。筋厚測定には超音波画像診断装置(東芝メディカル製SSA320A)を用い、左右両側の上腕二頭筋(以下BB)、大腿四頭筋(以下QF)、下腿三頭筋(以下TS)、最長筋(以下LO)の各筋厚を測定した。また介助歩行が可能な対象者については10m歩行時間を計測した。統計処理として、GMFCS、ADLにおける立位の状況による筋厚の違いを一元配置分散分析、寝返りと起き上がり動作の介助度による差を対応のないt検定により検討した。同時に10m歩行時間と各筋厚のPearsonの相関係数を調べた。
【結果】GMFCSのレベル別の筋厚はQF、TS、LOで有意な違いが認められ(p<0.001)、重度であるほど筋厚が小さかった。またADLにおける立位の状況によりQF、TS、LOに有意な差を認めた(TS:p<0.01、QF、LO:p<0.001)。特に立位を行なっていないA群におけるQF、LOがB、C群に比べて有意に小さかった。寝返り動作の自立群では要介助群と比較してQF、LOが有意に大きくなり(p<0.001)、起き上がり動作では自立群が要介助群よりQF、TS、LOで有意に大きな値を示した(p<0.05)。介助歩行が可能な9名18肢のQF、TSの筋厚と10m歩行時間との間に有意な相関が認められた(QF:r=0.54, p<0.05, TS:r=0.53, p<0.05)。
【考察】本研究の結果、成人脳性麻痺者の筋厚がGMFCSやADLの状況と関係することが示唆された。このことから脳性麻痺者に対する筋の形態評価はADLにおける筋の活動状態を反映する定量評価となる可能性がある。また、理学療法場面のみであっても立位を行う者と行なわない者との間には筋厚の差があり、立位を維持することの重要性が示唆された。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top