理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 245
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神経系理学療法
鏡による視覚的錯覚が健常人に及ぼす影響
―Mirror Therapyは健常非利き手機能を向上させるか?―
*手塚 康貴藤原 求美小川 真司山口 実果徳永 奈穂子市川 章子勝山 真介
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抄録
【目的】脳卒中片麻痺(以下片麻痺)の上肢運動麻痺に対する治療は様々なものが試行されている。Ramachandranは鏡像を利用した訓練(ミラーセラピー:以下MT)を提唱した。我々は、第37・39回本学会において、脳卒中片麻痺に対するMTについて報告したが、臨床的有効性を証明する報告は未だ少なく、その作用機序も解明されたわけではない。今回は、MT自体の効果を検証するために、健常成人に対するMTの影響を調べた。
【対象および方法】1)対象は、健常成人45名(平均年齢28.0歳)、男性15名、女性30名。44名が右利き、1名のみ左利きであった。各15名ずつ3群に割り当てた。2)MT実施のために、ダンボール箱の一側面に両手を入れる穴をあけ、正中矢状面で両手の間に鏡を設置できるミラーボックス(以下M-Box)を作成した。3)MT1群は、M-Box内で箸の開閉運動を利き手で行い、その鏡像を注視した。MT2群は、M-Box内で利き手にて紙を折り、その鏡像を注視した。両群とも鏡の裏の非利き手への刺激は行わなかった。コントロール群は安静待機とした。MT両群は8分間のMT実施と2分間の休憩とし、コントロール群は10分間の安静とした。4)評価は、非利き手による箸でのビーズつまみを行った。変形丸型の5つのビーズをつまみ、その所要時間を介入前後で各3回測定した。測定者には被験者がどの群であるかをブラインドした。5)介入前後の各平均値に対して、paired t-testで群内比較を行い、3群の介入前後に対して、one-way factorial ANOVAにて群間比較を行った。
【結果】1)MT1群は、平均年齢28.9歳、男性4名、女性11名、MT2群は、平均年齢27.8歳、男性5名、女性10名、コントロール群は、平均年齢27.3歳、男性6名、女性9名となった。2)介入前後の平均値では、MT1群のみ有意に時間短縮し(介入前平均25.65秒、介入後17.08秒、p=.0454)、MT2群とコントロール群では有意な差はなかった。3)3群比較では、介入前後とも有意な差はなかった。
【考察】非利き手での箸動作という評価課題は難易度が高く、MT自体の影響を反映しにくかったことが考えられたが、MT1群では、何らかの影響を推測させる結果であった。松尾らは、MTの運動イメージへの影響を報告している。MT1群の介入刺激は評価課題と一致した箸動作であり、介入課題と評価課題が一致していないMT2群に比べ影響が大きかったことが考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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