理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 284
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神経系理学療法
片麻痺症例におけるFunctional reachによる歩行自立度の判別
*成田 寿次長岡 和宏小山内 隆
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抄録
【はじめに】Functional reach(以下FR)は、バランス能力を評価する方法として、短時間で簡単に行え、臨床の評価には適している。しかし、脳血管障害(以下CVA)におけるFRを用いた報告は、散見されるがまだまだ少なく、検討する余地がある。そこで、今回、我々は、FRがCVAの歩行自立度の目安となりうるかを調査した。
【対象】対象は、当施設に入所し、理学療法を施行したCVAの症例で、以下の条件を充たしたものとした。条件は、(1)診断上、初回の脳血管障害であること、(2)装具や補助具、歩行様式の規定はせず自力で歩行が行え、更に、立位保持が可能なこと、(3)高次機能障害や痴呆、重症な変形性の骨関節疾患(脊柱の変形を含め)を有せず、今回の測定に同意が得られた症例とした。疾患の内訳、障害名は、脳梗塞56例、脳出血31例、右片麻痺42例、左片麻痺45例、合計87例であった。性別は、男性45例、女性42例、平均年齢69.4±8.1歳であった。下肢Brunnstrom Recovery Stage(以下BRS)は、II:3例、III:23例、IV:22、V:22例、VI:17例であった、歩行の非自立群47例、自立群40例であった。
【方法】評価項目は、年齢、BRS、非麻痺側握力、FRとした。FRの測定は、歩行に装具を使用している場合は、装着した状態で行った。歩行自立度は、Functional Independence Measureの歩行能力分類に基づいて、6・7点を自立、5・4点を非自立とし、2群に分類した。統計処理は、歩行自立度に非自立を0、自立を1とするダミー変数を用い評価項目との関連を検討するため相関係数を求めた。次に、従属変数を歩行自立度とし、有意であった項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。有意水準は、5%未満とした。
【結果】歩行自立度との相関係数は、FR(R=0.72 p<0.01)、BRS(R=0.68 p<0.01)、握力(R=-0,07 p<0.51)、年齢(R=0.06 p<0.61)であった。ロジスティック回帰分析の結果、歩行の非自立、自立の判別は、FRが22.5cmで最も高く、感度80.9%、特異度90.0%、適中精度85.1%、寄与率0.57であった(p<0.01)。
【考察】 CVA症例の歩行自立度と諸要因との関連においては、FRおよびBRSが高く、歩行能力における重要な要因であることを再認識することができた。また、今回の症例においては、年齢、握力は、関連性は低く、障害の重症度が重要であると考えられた。FRを用いた歩行非自立、自立の判別点は、最も当てはまりの良い値として、22.5cmが抽出された。今回の結果から、CVA症例の屋内歩行自立の目安として、BRSが高く、FRの値が22.5cm以上必要であること示唆され、歩行自立度を判断する上で有用な指標になると考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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