理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 286
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神経系理学療法
脳血管障害片麻痺患者の筋力調節能力と歩行自立度
*木山 良二前田 哲男福留 清博梅本 昭英日吉 俊紀吉元 洋一
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抄録
【目的】脳血管障害片麻痺患者の歩行能力に影響する因子として,麻痺側下肢筋力が指摘されている。麻痺側下肢筋力や特性の評価としては最大筋力の評価が一般的に行われている。しかし,日常生活では最大筋力を発揮することは稀であり,むしろ必要な筋力を適切なタイミングで調節することが重要である。本研究の目的は脳血管障害片麻痺患者の下肢の筋力調節能力と歩行自立度の関係について検討することである。
【対象】脳血管障害片麻痺患者19名であり,端坐位保持が可能で,測定に影響を与えるような高次脳機能障害がなく,下肢に疼痛や整形外科的疾患のない者とした。疾患は脳出血11名,脳梗塞8名,性別は男性13名,女性6名,麻痺側は右10名,左9名であった。下肢のBrunnstrom Stageは3:4名,4:12名,5:2名,6:1名であった。平均罹患日数は23.2±31.1カ月,平均年齢68.6±10.6歳であった。
【方法】麻痺側膝関節伸展の等尺性筋力における筋力調節能力を測定した。測定方法は出村らの報告を参考に要求値に対する追従運動を用いた。測定肢位は両足を床から離した端坐位で,両手を大腿の上に組んだ肢位とした。サンプリング周波数は20 Hz,測定時間は60秒とした。要求値は最大筋力の0~20 %を0.3 Hzで変動する正弦波とした。麻痺側の下腿遠位部に徒手筋力センサーを設置し,発揮ている筋力(発揮値)を継続的に測定した。要求値と発揮値をノートパソコン上に棒グラフとしてリアルタイムで表示した。対象者にノートパソコンの画面を注視し,変動する要求値に,発揮値を常に一致させるように指示した。測定開始直後10秒と,測定終了直前の10秒を除いた40秒間の1秒間あたりの誤差面積を筋力調節能力とした。この誤差面積が小さいほど筋力の調節が適切に行えており,筋力調節能力が高いことを示す。また相互相関関数を用い,要求値に対する発揮値の時間的な遅れ(位相の遅れ)も算出した。測定は1回の練習の後に,3回実施した。その他歩行自立度(FIM),12段階片麻痺回復グレード(上田)について評価を行い,誤差面積,位相の遅れとの関係について検討した。統計学的分析にはSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準は5%とした。
【結果】誤差面積と歩行自立度(rs=-0.52,p<0.05),12段階片麻痺回復グレード(rs=-0.55,p<0.05)には有意な負の相関関係が認められた。位相の遅れと歩行自立度には有意な相関関係は認められなかった。
【考察】麻痺側膝関節伸展の筋力調節能力は立脚相における重心の制御に関与し,結果として歩行自立度に影響を与えると考えられた。また筋力調整能力は12段階片麻痺回復グレードとも有意な相関関係にあり,筋力の量的な評価だけではなく,麻痺の質的評価にもつながることが示唆された。
 本研究は財団法人慢性疾患・リハビリテイション研究振興財団の助成による。
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© 2005 日本理学療法士協会
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