理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 629
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者の早期ブリッジ能力と歩行予後との関係
*中嶋 仁中川 法一日高 正巳齋藤 圭介武政 誠一
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抄録
【目的】
 我々は脳卒中片麻痺患者の歩行能力を簡便に判定する方法として、ブリッジと歩行能力との関係について調査し、WCPT学会(13、14 回)においてブリッジ能力の評価は、歩行能力判定の指標になることを報告した.本研究は、発症2週目のブリッジ能力から発症6週の歩行能力を予測可能であるか否か、歩行能力の予後に影響を与えるとされているBrunnstrom's Motor Recovery stage(BRS)、年齢の要因を加えて、構造方程式モデリング(SEM)を用い検討することを目的とした.
【対象】
対象は当院とデータ収集に協力の得られた14施設にて入院および外来治療中の脳卒中片麻痺患者105名.平均年齢は69.9歳、男性59名、女性46名であった(BRSは、1が6名、2が21名、3が38名、4が12名、5が19名、6が9名).なお、高次脳機能障害や痴呆、検査を阻害するほどの疼痛、関節可動域制限および感覚障害を有す者は本研究から除外した.
【方法】
発症2週時点における麻痺脚でのブリッジ能力として、非麻痺側は膝伸展位をとり安静にて麻痺側で行なう「Hemi Bridge」、脚を組んで麻痺側のみで行なう「Cross Bridge」、非麻痺側を挙上し麻痺側のみで行なう「Single Bridge」の3種類を取り上げ、それらの可否について5段階での判定を行った。統計解析では、先ず「ブリッジ能力」の指標として、これら3つを観測変数に配置した1因子モデルを措定した.そして「ブリッジ能力」から発症6週の歩行能力へ向かうパスを引くと共に、発症2週目のBRSならびに年齢からブリッジ能力と歩行能力それぞれに向かうパスを引いた逐次モデルを措定し、相互間の関係性について検討を行った.以上の解析には構造方程式モデリングを用い、推定法には最尤法を採用した.
【結果と考察】
統計解析において,年齢からのパスはいずれも統計的に有意ではなく,年齢を省いた方で適合度が高かったことから、年齢を省いたものを最終モデルとして採用した。このモデルの適合度は、GFIが0.986,AGFIが0.946, RMSAが0.000といずれも統計的な許容水準を満たす適当度を示した.「Bridge能力」から発症6週の歩行能力の標準化係数は0.62で、BRSの歩行能力に対する直接効果は0.28、「Bridge能力」を介した間接効果は0.48であった.なお歩行能力に関する決定係数は、0.72であった。以上の事から、発症6週後の歩行予後予測因子として、発症2週目のHemi Bridge、Cross Bridge、Single Bridgeの3つのブリッジ能力が重要な予測因子であることが示唆された。また、BRSについては、直接的効果よりも間接効果が高く、歩行能力が麻痺の回復の程度のみならず、ブリッジ動作等のパフォーマンスを介して関与していることが示唆された.
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© 2005 日本理学療法士協会
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