抄録
【はじめに】2000年の介護保険導入・回復期リハビリテーション(以下、リハビリ)病棟新設、2002年の診療報酬大幅改定など、近年リハビリを取り巻く環境が大きく変わってきている。都立府中病院のような回復期リハビリ病棟を持たない急性期病院でのリハビリは、在院日数の短縮などもあり早期化・効率化を迫られている。今回、脳卒中患者の退院から現在までの経過をたどり調査したので報告する。
【対象】都立府中病院で勤務していた1997年4月1日から2004年3月31日の7年間で、筆者が理学療法を担当した94名(急性発症した脳卒中患者、男性48名、女性46名、退院時平均年齢69.1±12.8歳)を対象に訪問調査を行った。病型は脳梗塞45名、脳出血28名、クモ膜下出血18名、その他3名であった。都立府中病院退院時の転帰は、自宅群51名(54.3%)・転院群43名(45.7%)であった。尚、入院中の死亡退院例は除外した。調査期間は2004年2月7日から11月8日までの約9ヶ月間に及んだ。
【方法】訪問面接法により、患者及び家族から直接聞き取り調査を行った。また訪問時不在の家には、後日電話による聞き取り調査を行った。調査内容は退院後の経過、移動能力(屋外歩行自立、屋内歩行自立、屋内監視歩行、車椅子自立、車椅子介助、寝たきりの6段階に分類)等であった。また死亡例については、その経過と死亡年月日を聴取した。
【結果】訪問面接法による聞き取り75名、電話調査法8名、不明11名で、退院から調査までの期間は平均1077日。死亡は不明を除く83名中17名(自宅群6名、転院群11名)で、死亡平均年齢は71.5歳、退院から死亡までの期間は平均589日であった。また、転院群43名中、自宅復帰例は9名であった。退院時と訪問時の移動能力の変化については、自宅群(機能向上17名、変化なし19名、機能低下5名)、転院群(機能向上8名、変化なし14名、機能低下3名)となっていた。その詳細を見ると、自宅群の退院時屋内歩行自立18名中、11名が機能向上。転院群では車椅子介助23名中、変化なし 10名・機能低下3名。寝たきり11名に関しては、死亡7名・変化なし3名であった。
【考察】急性期病院でのリハビリは短期間である。その為、患者・家族との人間関係が希薄になり易く、入退院の入れ替わりが激しいため、日々の業務に追われ事務的・機械的になる傾向があると推察される。そこで今回の調査の様に、長期的な視野を持って退院後の経過を把握していくことが重要であり、それがそれぞれの患者・家族に合った適切な急性期病院におけるリハビリサービスを提供させていくことにつながっていくと考える。