理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 24
会議情報

骨・関節系理学療法
X線計測による腰部脊柱管狭窄症に対する超音波療法の効果の検討
*上原 徹青木 一治木村 新吾友田 淳雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】腰部脊管狭窄症(以下、LSCS)の神経性間欠跛行に対して超音波療法(以下、US療法)は、有効な保存的療法の一つであることを種々報告してきた。しかし、どのような症例にUS療法が適応するか、X線計測による詳細な検討はしていなかった。そこで、腰椎のマルアライメントの影響を考え、立位側面X線像から、US療法有効者と観血的療法移行者の違いについて検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、LSCSの国際分類の変性性狭窄のなかの、外側部の圧迫によるもので、トレッドミルテストにより神経性間欠跛行を確認し、US療法を行なった者とした。US療法を行なった結果、何の症状も出現しなくなった10名(男5名、女5名、平均64.9歳)を消失群とし、症状が軽減した14名(男10名、女4名、平均64.8歳)を軽減群とした。US療法が効果なく、観血的療法に移行した8名(男3名、女5名、平均66.4歳)を手術群とした。
 腰椎のアライメントは、初診時のX線像を用い、立位側面像、臥位最大屈曲と最大伸展時の動態側面像から計測した。計測は、L1椎体上縁と仙骨上縁のなす角度であるtotal lumbar angle、仙骨上縁と水平面のなす角度であるsacro-horizontal angle、各腰椎の椎体間角度、L5-S1 angle、を測定した。また対照群として、症状の改善が得られた椎間板ヘルニア患者15名(男10名、女5名、平均35歳)を用い、立位側面のX線から、total lumbar angleとsacro-horizontal angleを測定した。
【結果および考察】1.立位側面像の結果
(1)total lumbar angle  対照群45.5±10.5°、消失群47.8±16.7°、軽減群45.8±12.1°と、ほぼ同様の値であった。このことからUS療法有効例は、正常に近い腰椎の前弯度であった。手術群では29.1±17.2°と、有意な前弯の減少を認めた。
(2)sacro-horizontal angle  対照群33.9±7.1°と比較すると、消失群31.4±11.5°、軽減群33.7±9.6°と、3群ともほぼ同様の値であった。手術群では、24.6±12.0°と対照群と有意差を認め、立位での骨盤が消失群、軽減群と比較して後傾していることが分かった。
 (1)と(2)より、手術群では腰椎で前弯が減少し、骨盤の傾斜が減少しているため、体幹全体が屈曲位を呈していることになる。
2.立位側面像と臥位最大屈曲時の差
 消失群・軽減群・手術群の屈曲可動域をみると、L3-4、L4-5において、手術群に比べ、消失群・軽減群では屈曲可動域が大きい傾向にあった。
 以上の結果から、腰椎前弯と下位腰椎の屈曲可動性が比較的に保たれている症例では、US療法が有効となる可能性が示唆された。今後、LSCSに対するUS療法の有効性を検討する上で、初診時に屈曲位を呈し、立位側面像と臥位最大屈曲位との角度に差がないものは、手術に移行する可能性があることを考慮しなければならない。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top