理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 133
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骨・関節系理学療法
人工膝関節置換術前後の筋力推移
*松渕 貴之矢島 幸昌有澤 日出和福本 咲智松本 了三角 友紀市川 聡子栗山 彩子宗像 亜紀関 敦仁杉井 章二當間 重人
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抄録
【はじめに】
 リウマチ(以下RA)の人工膝関節置換術(以下TKA)を行う患者において術前からの筋力低下がほぼ必発であり、また術後においては外科的侵襲の影響と廃用性筋萎縮、そして痛み等の影響を受け術前よりも筋力が低下するかに思われる。術後理学療法が再開されると、ほとんどの症例で筋力増強運動が処方・実施される。これらのことから術前と術後退院時に膝伸展筋力がどのような経過を示すかについて検討したのでここに報告する。
【対象】
 対象は平成16年5月~10月までに当院でTKA手術を行われたRA患者24名30膝(男性4名6膝、女性20名24膝、平均年齢61±10歳)
【方法】
 RA患者のTKA手術前及び退院前に評価を行う。評価項目は関節リウマチ膝治療成績判定基準(JOA score)、膝関節関節可動域(ROM)、等尺性膝関節伸展筋力、10m普通歩行速度、年齢、体重。等尺性膝関節伸展筋力の測定には、アニマ社製等尺性筋力測定装置uTasMF-01を用いた。測定肢位は腕組みをし、体幹を垂直位に保持した端坐位で行った。センサーパットは膝関節90度屈曲位になるようにした下腿遠位部に当て、ベルト固定して行った。この肢位で等尺性膝伸展筋力を5秒間3回測定し、最大値を患者の体重で除し100倍した値を測定の対象とした(以下筋力体重比)。
統計方法は、これらの結果から術前・退院時において測定値を対応のあるt-検定を用いて行い、5%を有意水準とした。
【結果】
 術前と退院時の順に筋力体重比(%)は18.5±9.0、21.8±7.0、JOA score(点)は48.3±12.1、69.9±10.6、歩行速度(m/s)は0.56±0.3、0.76±0.3、膝屈曲ROM(度)は120.3±19.1、108.8±10.9、膝伸展ROM(度)は-9.8±9.3、-1.0±2.8であり、それぞれ有意差を認めた(p<0.01)。
【考察】
 本研究では、固定用ベルトを装着したHHDを用いてRAのTKA手術患者について等尺性膝関節伸展筋力を測定した。TKA手術前後における筋力の推移を把握しておくことは、理学療法を進めていく上で重要である。健常高齢者では、歩行が障害されはじめるのは筋力体重比が40%以下だと報告されている。今回退院時における筋力体重比が21.8±7.0と大きく下回ったことは、歩行可能な状態で退院をしているが、今後もリハビリを行い、可能な限り筋力強化を行うことが大切だと考えられた。またRA患者においてはHHDの目標値と呼べる値を定めていく必要があると考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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