2022 年 78 巻 5 号 p. I_39-I_50
生物多様性の維持は持続可能な開発を考えるうえで極めて重要な社会的な課題である.本研究では経済モデル,土地利用モデル,生物多様性モデルという3つのモデルを統合的に用いて,世界のどの地域の食ライフスタイル変化と生産側の技術変化が生物多様性に影響するのかを明らかにした.結果から,途上国における食ライフスタイル変化の影響が大きいことがわかった.中国やインドといった人口の多い国の取り組みももちろん重要であるが,アフリカや南米といった面積の大きな地域で肉消費の増加を抑制したライフスタイルを目指すことが生物多様性向上の観点からは効果が大きく,今後の社会の施策や政策策定においてこれらを考慮することが求められる.