理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 992
会議情報

骨・関節系理学療法
外側楔状板、内側楔状板が歩行時の下肢関節モーメントに及ぼす影響について
*中村 孝佳古矢 泰子荒木 茂松田 友和塩本 祥子矢野 昌充
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】変形性膝関節症に対する装具療法として外側楔状板、内側楔状板が用いられる事が多い。今回、健常者において足底に楔状板を挿入することにより、歩行時の股関節、膝関節、足関節における矢状面、前額面での関節モーメントがどのように変化するか測定したので、考察を加えて報告する。
【対象と方法】対象は整形外科的疾患の既往のない健常者10名(男性5名、女性5名)。平均年齢23.1±1.1歳、平均身長167.9±9.2cm、平均体重55.6±5.4kgであった。
外側楔状板、内側楔状板(シリコンゴム、中村ブレイス社)高さ7mmのものを使用した。測定は三次元動作解析システムモータス5(PEAK社)及びフォースプレート(AMTI社)を用いた。歩行は歩調を統一する目的でメトロノームを使用して、ケイデンスを110歩/毎分とし、100cmのフォースプレートを1歩行周期で通過するように指示した。楔状板は右足底に装着し、反射マーカーを仙骨部、上前腸骨棘、大腿中央部、膝関節裂隙、下腿周径最大部、外果、踵部、第2中足骨頭の全15点に添付した。歩行条件は、1.裸足歩行、2.外側楔状板を装着した歩行、3.内側楔状板を装着した歩行とし、各歩行条件で被験者1名につき2回ずつ施行した。今回、解析データの中から右下肢立脚期での股関節、膝関節、足関節における矢状面、前額面での関節モーメントで比較した。統計処理は一元配置分散分析を用い、多重比較はScheffeを選択し検定を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】裸足歩行と外側楔状板、内側楔状板を装着した歩行の3群間で、右下肢立脚期での関節モーメントのピーク値について比較した。各関節の矢状面における屈曲・伸展モーメント、前額面での外転・内転モーメントは、楔状板の有無での有意差は認められなかった。
【考察】外側楔状板使用では膝関節の内転モーメントが増加し、外転モーメントが減少、また内側楔状板使用では膝関節の外転モーメントが増加し、内転モーメントが減少するのではないかという仮説を立て、今回の研究を行った。しかし、裸足歩行との間で有意差は認められなかった。楔状板の影響が、足底部の軟部組織の弾力性や、踵骨の回内・回外により緩衝され、結果的に解剖学的FTAは変化せず、関節モーメントに有意差が現れなかったのではないかと考えられる。変形性膝関節症では膝関節伸展機構の膝屈伸運動と回旋運動の同時性であるscrew home movement機能が障害され,疼痛が生じる。楔状板により疼痛軽減する点を考え,今後は膝関節を含めた水平面における関節モーメントについて検討する必要性があるかもしれない。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top