理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 169
会議情報

生活環境支援系理学療法
転倒予防事業における股関節屈筋筋力について
*山崎 直美立石 学矢澤 由佳里長岡 輝之高野 義隆五十嵐 聡子佐藤 成登志山本 智章黒川 幸雄押木 利英子小林 量作古西 勇
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】当院では平成13年11月より転倒予防事業に取り組んでいる。最近の高齢者の健康増進事業では大腰筋が注目され、トレーニングの一環として取り組まれている。そこで当院においても平成15年のS町の転倒予防事業より股関節屈筋筋力も評価項目に取り入れている。今回、股関節屈筋筋力特性について他の評価項目と比較・検討したので報告する。。
【対象と方法】対象はS町の転倒予防事業の参加者135名(男性43名;年齢78.3±4.3歳、女性92名;年齢78.7±3.7歳)である。参加者は地域毎にアンケート調査と身体能力測定(10m全力歩行・最大1歩幅・膝伸展筋力・股屈曲筋力など9項目)を行った。股関節屈筋筋力測定には アニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターを用い、右脚の股関節屈曲を2回測定したうちの最大値を用いた。今回は1)股関節屈筋筋力の基本統計量と各項目との相関を求め、2)女性群のみ5歳毎の年代間比較3)転倒あり・なし群での比較をt検定(p<0.05)を用いて分析した。
【結果】1)股関節屈筋筋力値は男性1.18±0.45Torque/BW(70-74歳1.01±0.20 Torque/BW、75-79歳1.20±0.46 Torque/BW、80-84歳1.10±0.42 Torque/BW、85歳以上1.31±0.63 Torque/BW)、女性0.88±0.44(70-74歳1.40±0.35Torque/BW、75-79歳0.87±0.43 Torque/BW、80-84歳0.86±0.48 Torque/BW、85歳以上0.70±0.21Torque/BW)であった。また男女ともに股関節屈筋筋力と膝伸展筋力との間にやや強い正の相関(男性群r=0.50女性群r=0.64)が認められた。その他の測定項目の間に相関は認められなかった。2)加齢により減少する傾向を示したが有意差は認められなかった。3)転倒経験あり群の股関節屈筋筋力0.96±0.50 Torque/BW・なし群では0.84±0.42 Torque/BWであり、群間に有意な差は認められなかった。
【考察】今回の結果では股関節屈筋筋力と膝関節伸展筋力との間に相関が認められたが、転倒の有無による有意差は認められなかった。また、年代別に有意差は認められなかったが加齢により減少傾向を示しており、特に80-84歳群と85歳以上群の間では10m全力歩行や最大一歩幅と同様に低下の傾きが大きくなっていることからも何らかの関係があるのでは推測される。今回の結果から股関節屈筋筋力固有の特徴は認められなかったが、これは年代別群間で人数の差が大きいこともあり群内でのばらつきも大きかったことが影響していると思われる。今後さらにデータを集積することで因果関係が求められるのではないかと思っている。それにより、より適切な評価・運動につなげていきたい。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top