理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 796
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生活環境支援系理学療法
バーチャルリアリティ技術を応用した運動療法
―バーチャルスポーツの開発と臨床応用―
*田中 聡山田 英司森田 伸田仲 勝一乗松 尋道和田 隆広塚本 一義
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抄録
【はじめに】近年,バーチャルリアリティ(以下VR)技術をリハビリテーションに応用する研究が行われるようになってきた.我々はVR技術によりアミューズメント性を備え,リハビリテーション室にいながら仮想現実空間内でスポーツが可能なVRスポーツを開発し,臨床に応用することができたのでその効果について検討した.
【装置概要】VR技術を応用したスポーツシステムは,テニス,サッカー,スノーボードを行うことができる.テニスラケット,スノーボード,サッカーボールは現実空間に存在するのに対し,テニスコート,テニスボール,相手プレイやゲレンデ,障害物およびサッカーゴールは仮想空間内に存在する.仮想空間は100インチの大型スクリーンに液晶プロジェクタから呈示される.画像はOpen GLベースのWorld Tool Kit(Sencse8社製)を用いて作成した.テニスラケット,スノーボード,サッカーボールのそれぞれの先端にマーカを取り付け3台のカメラからその空間位置データ読み取り計算機に送り,計算機内で現実空間と仮想空間の動きを同期させ運動を行うシステムである.
【VRスポーツによる運動療法】ケアハウスに入所している高齢者の中から,本研究の目的を説明し同意が得られた15名(男性3名,女性12名,平均年齢76.6歳)を対象に運動療法の実践とその効果判定の評価を行った.今回はVRテニス8名とVRスノーボード7名の2群に分けた.運動療法プログラムは,両群ともに1回の運動を2分間2セット,週3回行い12週間継続した.なお,従来から行っているレクレーションや体操は制限しなかった.評価項目は,バランス能力として重心動揺計による開眼起立時の重心の総軌跡長,外周面積,片脚起立時間,Functional reach test,最大一歩幅,筋力として握力,ハンドヘルドダイナモメータにて等尺性足背屈筋力.その他10mジグザグ歩行路の歩行時間,両踵骨の超音波骨量を計測した.また運動療法終了時にアンケートを行った.評価は運動療法開始前と12週間後の終了時に行った.統計処理は対応のあるt検定を用い有意水準は5%以下とした.
【結果と考察】15名全員が12週間の運動療法を継続することが可能であった.統計学的に有意な改善を得た評価項目は認められなかったが,両群とも右握力,両側等尺性足背屈力,重心動揺総軌跡長,Functional reach testの平均値の比較では改善傾向にあった.またVRスノーボードを行った群は,加えて最大一歩幅の平均値が改善した.利用者のアンケート調査から,楽しく運動が可能で今後も継続したいという声が大半を占めた.VR酔いなどの身体症状を呈した例はなかった.高齢者が楽しく12週間にわたり運動療法が継続可能であったことはアミューズメント性を有するVRスポーツの効果と考え,さらに長期的な効果を調査していきたい.
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© 2005 日本理学療法士協会
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