理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 720
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理学療法基礎系
健常者におけるインターバル歩行のエネルギー消費量とPCIとの関係
*康 徳龍高橋 哲夫宮本 真由美
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抄録
【目的】歩行時のエネルギー消費やエネルギー効率の測定は,臨床上利便性から生理学的コスト指数(Physiological Cost Index : PCI)がよく利用されている.これまで持続的歩行運動やランニング及び,走行などの運動に関してエネルギー消費量や運動効果を観察した研究は多くあるが,まだインターバル歩行に関する研究はなされていない.そこで本研究では,歩行時のエネルギー効率に着目し,インターバル歩行時と持続的歩行時のエネルギー消費量の変化について実験を行い,その有効性について検討した.
【方法】被検者は日頃運動を行っていない男女学生17名.歩行はトレッドミルにて行い,安静時心拍数を測定し,被検者の主観による自由歩行を基準とした「遅い歩行」「普通歩行」「速い歩行」の歩行速度が異なる3種類の歩行を用いた.インターバル歩行は,30秒間の速い歩行と15秒間の遅い歩行を3分間繰り返し実施した.
【結果】歩行速度は「遅い歩行」42.94m/min,「普通歩行」75.12m/min,「速い速度」118.88m/min,「インターバル歩行」100.24m/minであった.PCIでは「普通歩行」より「速い歩行」が0.25beats/meter,「遅い歩行」が0.14beats/meter高くなった.また,「インターバル歩行」は「普通歩行」より0.46 beats/meter高く,「速い歩行」より0.21beats/meter高い結果が得られた.歩行率においては「インターバル歩行」が「速い歩行」より少ない結果が得られた.
【考察】本研究では,エネルギー消費量としての面から,トレッドミル歩行によるインターバル歩行とPCIの関係について検討を行った. PCI曲線は「インターバル歩行」が「速い歩行」よりエネルギー消費量が高い値を示し,PCI平均値のt検定(危険率5%)では有意差が認められた.インターバル歩行は速い歩行と遅い歩行を交互に繰り返し行う方法であるため,「速い歩行」より速度や歩行率が遅くなったと考えられた.また,「インターバル歩行」の速い歩行は歩行時間が短時間であるため最大努力歩行が遂行でき,心拍数を高水準まで達することができると考えられる.最大努力歩行を繰り返すことにより,1回の心拍で心臓から拍出される血液の量が増大し,全身最大酸素消費量が高くなると考えられる.従って「インターバル歩行」は全身持久性の能力を向上により呼吸・循環系の改善が期待できる.これらのことにより,「インターバル歩行」は持続的速度の「速い歩行」より,エネルギー消費量がより高いことが示唆された.
【まとめ】1.PCIによるインターバル歩行のエネルギー消費量を検討した.
2.PCIを算出した結果「遅い歩行」「普通歩行」「速い歩行」のエネルギー消費量より「インターバル歩行」が高値を示した.3.「インターバル歩行」はエネルギー消費量が高いことにより脂肪の燃焼量がより高い可能性があることを示唆している.
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© 2006 日本理学療法士協会
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