抄録
【背景】障害のある高齢者や虚弱(特定)高齢者の増加に伴い、介護サービスの充実のみならず介護予防の推進の必要性が叫ばれている。茨城県では、2004年度のモデル事業の成果を踏まえ、2005年4月より独自にシルバーリハビリ体操指導士(指導士)養成事業を開始し、介護予防の普及活動を展開していくこととした。ここでは主に、指導士に関する紹介と事業の中心として行われている指導士養成講習会に従事する理学療法士(PT)の活動について報告する。
【指導士養成講習会の概要】茨城県立健康プラザ(プラザ)では、指導士養成のための講習会を実施している。講習会は1名のリハビリテーション専門医と2名のPT等を中心とした体制で行われている。3級指導士の資格条件は、県内在住の概ね60歳以上の方で、プラザが主催する講習会を受講することとしている。2級指導士の資格条件は、3級指導士に認定され、かつ、ホームへルパー(3級以上)等の資格を有するか、体操指導の実務経験を有することが望ましいとしている。指導士の活動はボランティアとして、筋力や柔軟性向上を目的とした体操の実践と普及・指導および補佐である。指導対象は地域の虚弱(特定)高齢者等を考えている。指導士認定に必要な履修時間(期間)は3級では50時間(10日間)、2級では30時間(6日間)である。
【指導士養成の現状】2005年度は全7コースを予定している。2005年10月までに指導士3級が218名(4コース修了)、2級が42名(1コース修了)認定されている。養成目標は2015年までに、約10,000人の3級指導士、約1,000人の2級指導士、約100人の1級指導士の養成としている。今後は1級指導士養成を検討している。
【PTの活動内容】PTが受講者に対する体操の実践活動(実技)指導(3級:20時間、2級:20時間)、解剖や関節運動に関する講義(3級:10時間)等を実施している。このほか体操の普及活動として施設外での講演、テレビへの出演や高齢者への体操方法を紹介するリーフレットの作成・配布等を行っている。
【今後の展望】指導士養成目標の達成にはスタッフ数の充実等、指導体制の強化・整備が不可欠である。養成後は、茨城県独自の地域ケアシステムや地域活動並びに地域リハビリテーションのネットワーク等と連携した指導士の活動場所の開拓等が必要である。今後は市町村や地域住民に対する普及啓発を積極的に行い、指導士の円滑な活用を進めていきたい。