理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1120
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生活環境支援系理学療法
Quality Indicator としてのFIM実施率とADL練習に関する患者満足度の現状
*岡村 大介小島 肇佐藤 由佳渡会 昌広馬渕 美也子柳田 俊次斉藤 千秋黒田 栄史
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キーワード: QualityIndicator, FIM, 患者満足度
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抄録
【目的】当院では2006年3月より医療の質を評価するQuality Indicator(以下QI)を各科に導入し、リハビリテーション科(以下リハ科)ではFIM実施率をQIとして採用した。FIMの導入により各スタッフが患者のADL改善を主目標として日常臨床で意識するようになり、リハ医療の質を向上させることが期待される。今後はFIMに習熟するに従い、その実施率が向上し、ADL練習に関するリハビリの質が向上していくと予測できるが、それと同時に実際にFIM実施率がADL練習に関する患者満足度に反映するかどうかを確認していく必要がある。そこで今回我々はFIM実施率とADL練習に関する患者満足度の現状を調査し、問題点と今後の課題を抽出するとともに、今後の比較検討の基礎データとしてまとめることを目的とした。
【方法】対象は2006年6月1日~9月30日までの間に当院リハ科にて理学療法を受け自宅退院した患者359名とし、各患者に対するFIM実施率の調査を当院医療情報解析室に依頼した。また、その内20日以上理学療法を受け自宅退院し、且つ認知に問題の無い患者30名に対し、我々の先行研究にて妥当性を確認した質問紙票を用いてADL練習に関する患者満足度のアンケート調査を実施した。アンケート調査は病室に担当以外のスタッフが伺い、面接法にて実施した。アンケート調査の結果はχ2乗検定を用い分析した。なお、本調査の開始にあたり当院倫理委員会の承認を得た。
【結果】1)FIM実施率:患者一人当たりのFIM実施回数は平均1.14回であり、ほぼ初回の評価のみで終了していた。2)アンケート調査:訓練室でも病室でも移乗や歩行など移動に関する練習は行われていたが、その他セルフケアに関する練習はほとんど実施されていなかった。また、自宅を想定した練習でも移動に関することが中心であった。患者自身は比較的ADLの改善を実感し、在宅に向けて自信がついたとの意見が多かったが、目標設定に関しては不明確なところがあった。
【考察】当院は急性期の総合病院であり、その在院日数も平均13日と短期である。それに加え、FIMに対し未熟であった点がFIM実施率を下げた要因であると考えられる。また、当院では本年度よりOTも採用しているが、新人であり、また、現在各々の役割分担が不明確であることからセルフケアに関するADL練習が不十分であったと考えられる。
【まとめ】今後はFIMに関してより経験をつむことや、科内での勉強会などを通してその習熟度を向上させることで、FIM実施率が向上し、また、OTとの役割分担を明確にすることで、移動だけでなく、セルフケアにも着目した質の高いリハビリが提供されることを期待する。
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© 2007 日本理学療法士協会
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