理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 699
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神経系理学療法
視線課題が脳血管障害片麻痺患者の歩行に及ぼす影響について
大谷 啓尊, 青木 修
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キーワード: 脳血管障害, 歩行, 動揺性
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抄録
【目的】足元へ視線を向けて歩行する脳血管障害(以下、CVA)片麻痺患者が、前方へ視線を移すときに立ち止まってしまうことは臨床上よく観察される。歩行が不安定な患者は、視覚的に定位することで歩行の安定を得ていると考えられる。一方で、歩行が安定している患者は前方へ視線を移しても歩行の継続が可能であることから、安定を得る方略として視覚的定位が優位でない可能性が考えられる。本研究では3種類の視線課題を与え、歩行の安定性が異なる群で課題間における安定性の変化が異なるかを検討することとした。

【方法】対象は当院入院中のCVA片麻痺患者であり、訓練室内歩行が自立している9名(年齢68.7±8.3歳、発症からの期間400.2±132.9日:以下、自立群)および監視は必要であるが身体介助を要せず10m以上歩行可能な6名(年齢60.0±13.1歳、発症からの期間403.0±12.1日:以下、監視群)とした。被検者には本研究の目的およびデータの取り扱いについて説明を行い、書面による同意を得た。
被検者には第3腰椎後方部に3軸加速度計(MicroStone社製)を装着し、足元を注視する歩行(課題A)、前方の目標物を注視する歩行(課題B)、目標物のない前方を注視する歩行(課題C)の3課題をランダムに用い、10m歩行を実施した。得られた加速度データより歩行安定性の指標として、左右・上下・前後成分についてRMS(動揺性の指標)を求めた。まず2群間で動揺性が異なることを確認する目的で、Mann-WhitneyのU検定を用いて課題AにおけるRMSを比較した。さらに3課題間での動揺性の違いをFriedman検定により比較した。

【結果】自立群、監視群それぞれの課題AにおけるRMSは、左右成分6.9(四分位範囲:3.4‐16.1)、33.2(13.9‐141.1)、上下成分1.9(1.5‐4.2)、8.2(4.2‐37.8)、前後成分2.3(1.3‐3.3)、7.3(4.6‐33.7)であり、自立群が監視群に比べ有意に低かった。
3課題間のRMSの比較では自立群、監視群それぞれ有意な差を認めなかった。

【考察】群間比較の結果より、自立群は監視群と比較して歩行時の動揺性は小さいことが確認された。今回用いた3つの視線課題は、中心視野、周辺視野の役割の違いを意識して設定し、我々の仮説では監視群では課題A→課題B→課題Cの順に動揺性が大きくなり、自立群では課題によって動揺性の変化が少ないというものであった。しかし結果は、課題による変化に有意差は認められなかった。このことから歩行時の動揺性の大小に関わらず、両群とも動揺性の制御は視覚的定位によらない可能性が示唆された。
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© 2008 日本理学療法士協会
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