理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 108
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骨・関節系理学療法
腰痛治療器ATM2による体幹屈曲エクササイズが健常者の体幹可動域に及ぼす即時効果
無作為化対照研究
増田 圭太伊藤 一也宮園 真輔岡西 奈津子蒲田 和芳
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抄録
【目的】腰痛治療器としてアメリカで普及しているATM2(BackProject社)は、骨盤圧迫による骨盤リアライメント、ベルトによる疼痛の生じない自動運動域の確保、体幹中間域での等尺性筋力発揮を同時に実現する。腰痛患者の疼痛軽減効果(Lewis 2006)や腰痛患者の腰部筋活動の低下(www.Backproject.com)などが報告されているが、これらについて基礎的な研究は報告されていない。本研究では、ATM2の健常者の体幹柔軟性に及ぼす効果を明らかにすることを目的とする。
【仮説】ATM2による体幹屈曲エクササイズは即時的に体幹の柔軟性を改善する。
【対象】対象者の取込基準は健常男性、18-29歳、体幹の柔軟性に劣る(立位体前屈にて指先が地面に届かない者)であり、除外基準は女性、囚人、医学的問題として腰痛、前屈時の疼痛、運動制限、内科的リスク、精神障害、コミュニケーション障害のある者、とした。ヘルシンキ宣言の精神に基づき作成された同意書に署名した20名の被検者は、無作為に2群に割り付けられた。
【方法】本研究は2群による無作為化対照実験であり、A群はATM2を、B群は体幹前屈の静的ストレッチエクササイズを実施した。観察因子は体幹前屈可動域(FFD)と股関節屈曲可動域であり、その測定は介入直前と介入直後(5分以内)に盲検化された測定者が実施した。統計学的検定にはF検定に基づき不等分散のt検定を実施し、多重検定の処理としてBonferroni補正を実施した。なお、補正前の有意水準をp<0.05とした。さらに、1例についてはATM2のサポートパッド上の圧分布(ニッタ社)を計測した。
【結果】 FFDの改善は、A群が11.4 ± 6.0 cm (平均±標準偏差)、B群が6.2 ± 4.5 cmであり、有意差が認められた(p=0.021)。股関節屈曲可動域の改善は、A群が-1.9 ± 4.8 °、B群が3.1 ± 6.1 °であり、Bonferroni補正により有意差は認められなかった(p=0.029)。圧分布においては腰椎および腸骨稜に左右対称の強い圧が認められた。
【考察】本研究の結果、ATM2の屈曲運動は即時的に脊椎屈曲可動域を改善させた。中間域での体幹屈曲の等尺性収縮は、ベルトによる骨盤圧迫に加えて筋力発揮中に骨盤をサポートパッドに強く押し付け、骨盤アライメントの対称化をもたらすものと推測される。本研究の問題点として、統計学的パワーの不足や結果の一般化の制限が挙げられるが、再現性の高い計測方法を用い、盲検化無作為化対照研究のデザインを用いた点などを考慮すると信頼性の高い研究といえる。以上により研究仮説は支持されたと結論付けられる。今後は画像等による精密な骨盤アライメントの変化に関する研究が必要である。
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© 2008 日本理学療法士協会
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