理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 118
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骨・関節系理学療法
肩腱板断裂部位の違いが術後の肩関節挙上角度に及ぼす影響
唐澤 達典畑 幸彦高橋 友明川崎 桂子矢貴 秀雄
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抄録
【はじめに】肩腱板断裂術後,腱板の機能不全が残存すると肩甲上腕関節の動きが肩甲胸郭関節や体幹の動きで代償される。肩腱板断裂術後挙上時の,肩甲上腕関節の動きに対する腱板の断裂のサイズによる影響に関しての報告はあるが,腱板の断裂部位による影響に関しての報告は渉猟した中で認めなかった。
【目的】今回われわれは,肩腱板断裂術後1年以上経過した症例において,断裂の部位の違いにより肩甲上腕関節の挙上運動が影響されるか否かを調べるため,自動挙上時zero position位がとれるか否かをその判定基準として,調査したので報告する。
【対象】対象は,当院で肩腱板断裂に対して肩関節形成術を施行され,本研究に同意が得られ,術後1年以上を経過した96例96肩である。性別は男性59肩,女性37肩。手術時年齢は平均60.3歳で,術後経過観察期間は平均16.8ヵ月であった。断裂サイズはsmall tear 3肩,moderate‐sized tear42肩,large tear31肩, massive tear20肩であった。術後理学療法は,全例術翌日から開始した。
【方法】測定方法は,被検者に座位をとらせて頚部と体幹を固定し,両上肢を同時に肩甲骨面上で自動挙上させた。肩甲棘と上腕骨長軸のなす下方角度が180°以上(zero position位がとれる)の症例を改善群,180°以下(zero position位がとれない)の症例を非改善群と定義し,症例を2群に分けた。また,術中所見より腱板断裂部位が上腕骨側方正中線の前側にある症例をF群,同様に後側にある症例をR群,どちらとも言えない症例をM群とした。M群を除外したF群とR群について,改善群と非改善群との間で有意差検定を行った。
【結果】断裂部位は,改善群41肩のうちF群が11肩で,R群が5肩であった。非改善群55肩のうちF群が5肩で,R群が16肩であった。改善群ではF群が有意に多く,非改善群ではR群が有意に多かった(p<0.05)。
【考察】腱板断裂術後の挙上角度が改善した群は断裂した部位がより前方で棘上筋腱優位であり、非改善群はより後方で棘下筋あるいは小円筋腱優位であった。zero positionの位置では,腱板に対する負荷は棘上筋よりも後方の棘下筋,小円筋に負荷がかかっていると考えられる。したがって,腱板断裂部位がより後方のほうが術後の挙上において困難となる可能性が高いことが分かった。
腱板断裂予後を予測するのに断裂部位がその要因の1つであると思われた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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