理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 163
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骨・関節系理学療法
異なるバランスエクササイズのツールを使用した重心動揺の比較
亀井 聡美岩本 久生金澤 浩吉田 和代出口 直樹島 俊也千原 知美白川 泰山
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抄録
【目的】
バランスエクササイズはパッドや不安定板などのツールを用いることがあるが,難易度や対象となるバランス能力などは明確に示されていない.本研究の目的は,バランス能力に応じたエクササイズを適切に設定するために,異なる2種類のツール上での立位時の重心動揺の違いを調査すること,およびバランス能力の異なる対象の2種類のツール上での立位時重心動揺の特徴を比較することを目的とした.
【方法】
対象は当院通院中の女性16名で,運動器不安定症の基準に該当する不安定群6名(75.7±5.3歳)と該当しない対照群10名(78.3±3.9歳)に分けた.重心バランスシステム(JK-101,(株)ユニメック)を用いて,安静立位時(REST)の重心動揺を測定した.次に,フォースプレート上にバランスパッド((株)酒井医療:AIREX)とDISCOSIT(Gymnic社:DISC)を載せ,その上で立位をとらせ,各々の重心動揺を測定した.重心動揺の指標には単位軌跡長,矩形面積,実効値面積を用いた.計測周波数と時間は20Hz,30秒間とし,測定開始から5秒間の値を分析に用いた.運動器不安定症とツールを要因とした二元配置分散分析,各測定条件での群間の比較に対応のないt検定を用い,危険率5%未満を有意とした.
【結果】
単位軌跡長,矩形面積,実効値面積ではツールに主効果が認められ,RESTに比べAIREXとDISCで,AIREXに比べDISCで有意に増加した.バランス能力では主効果は認められなかった.ツールとバランス能力の要因間に交互作用はなかった.各測定条件の群間比較ではRESTとDISCにおいて,有意差はみられなかったが,AIREXのみ対照群に比べ,不安定群で重心動揺の各指標はそれぞれ有意に増加した.
【考察】
2種類のツールで重心動揺の比較を行った結果,AIREXよりもDISCで各指標は有意に増加し,今回の対象ではDISCはAIREXよりも重心を崩しやすいツールであることが分かった.群間の比較では,重心動揺の各指標はAIREXでのみ対照群に比べ不安定群で有意に増加した.これは,AIREXは荷重により柔軟に変形するが,ツールの底面と床との接触面は変化せず,反作用が立位姿勢を保持する方向に働くため,重心が動揺しながらも立位保持が可能であったが,DISCではツールの底面と床との接触面が変化するため,重心の動揺を最小限にして,立位を保持する必要があったためと考えた.
【まとめ】
バランス能力に関わらず,AIREXとDISCは安静立位に比べ,各々重心を崩しやすいツールであった. AIREX上での立位保持はバランス能力の低い者は高い者に比べ,重心が動揺する結果となり,ツールによって対象に及ぼす影響が異なることが示唆された.DISCではバランス能力による差はみられなかったが,さらに検討を進めていきたい.
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© 2008 日本理学療法士協会
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