理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-507
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内部障害系理学療法
脂肪肝に対するハイブリッド訓練法の効果について
前田 貴司高野 吉朗志波 直人川口 巧佐田 通夫
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抄録
【目的】
ハイブリッド訓練法による筋力増強効果は、同程度の負荷を重錘にて行ったトレーニングと同じ効果が得られる.また、重錘を用いる方法と比べトレーニング時間を短縮することができる.今回、脂肪肝への運動としてハイブリッド訓練法を実施し、運動効果について検討したので報告する.
【方法】
本研究内容に関しては久留米大学医学部倫理委員会にて承認を得た.本研究の内容および危険性について説明を行い、同意を得た脂肪肝と診断された女性4名(46歳から72歳、平均年齢58歳.平均身長151.3cm.平均体重64kg)に対して、ハイブリッド訓練法を週2回6ヵ月実施した.ハイブリッド訓練法は、膝関節伸展屈曲運動を屈曲90度位から0度までの範囲で行い、10回1セットとしそれを10セット、セット間に1分間の休息を取り入れた.電気刺激方法は両側大腿四頭筋とハムストリングスに対してそれぞれ4つの電極を貼付し、刺激周波数40Hz、刺激強度は耐えうる強度の大腿四頭筋70%、ハムストリングス80%の強度.伸展、屈曲の各動作は3秒間とした.評価項目は、Cybexによる膝関節伸展と屈曲の60度屈曲位での最大等尺性筋力.血液検査、体組成を実施前後で計測した.
【結果】
筋力は、実施前に比べ実施後は平均で伸展は36%、屈曲は21%増加した.血液検査は、総コレステロール値と中性脂肪値を実施前後で比較すると、実施前は全例高値を示していたが、実施後、正常範囲内に改善する者やあまり改善しない者などばらつきがあった.体組成は、体重の減少はそれほど見られなかった.次に体脂肪量では、実施前後で平均5%程度減少した.また、日常生活で階段昇降が楽になった.椅子からの立ち上がりや座ったりする時に楽になったなどの感想を得た.
【考察とまとめ】
ハイブリッド訓練法は主動作筋と拮抗筋を同時に筋力トレーニングすることが出来る特徴があり、このことは重錘などを用いたトレーニングに比べ短時間で同様な効果を得ることができる.今回行ったトレーニングは1回約20分程度であった.今回の結果より筋力は増加し、体重の減少は見られなく、体脂肪量は減少したことは筋力の増加は筋質量の増加が考えられる.また、日常生活の動作で楽になったことなども筋力増加による効果と考えられる.しかし、総コレステロール値と中性脂肪値に変化が見られなかった点に関しては、脂肪肝などの代謝性疾患は運動と食事などの生活習慣の指導が必要であり、今回は週2回のトレーニング実施以外は特に制限を設けなかった点が関連していると考えられる.今回はハイブリッド訓練法のみ実施し、他の方法との比較を行っていないので他の運動との比較検討が必要だと考えられる.
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© 2009 日本理学療法士協会
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