理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
坐位と臥位における体幹回旋可動域測定の信頼性・再現性の検討
─相関性検討のための予備研究─
岩田 泰典吉沢 剛鈴木 貞興宇田川 慎介
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p. Ab0685

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抄録
【はじめに】 本研究は、日本整形外科学会(以下、日整会)による胸腰椎回旋可動域と、簡便に実施できる膝立て背臥位での体幹回旋可動域(以下、臥位体幹回旋可動域)の相関性について調べることを目的とした。日整会による体幹回旋可動域評価は、胸腰椎回旋として測定される。測定肢位は坐位のため、肩甲帯・骨盤などの代償が入りやすい。また、その測定は基本軸の両上後腸骨棘(PSIS)を結ぶ線と移動軸の両肩峰を結ぶ線を頭上から計測するため誤差が生じやすい。これに対し、背臥位は腰部の手術後などでも簡便に取れる姿勢であり患者側の負担が少ない。また、臥位体幹回旋可動域は検者側の固定箇所も少なく、骨盤・下肢を徒手で誘導しやすく、臨床上よく用いられる体幹回旋量の評価の1つである。そこで今回は、それぞれの方法との相関性を検討するための予備研究として、検者内信頼性と再現性について検討した。【方法】 対象は腰痛がなく、外傷などの既往歴のない健常者9名(内訳男性6名、女性3名)、平均年齢32.3±8.7歳、身長167.0±6.0cm、体重59.0±7.6kg、BMI18.8±5.8である。測定は臨床経験4年目の理学療法士1名で行った。測定に先立ち被検者は、腰部を中心としたストレッチを約5分間実施した。胸腰椎回旋可動域は日整会により制定された関節可動域検査法で測定した。臥位体幹回旋可動域は、両肩峰を結ぶ線が床面と平行になるようにセットし、床面と両上前腸骨棘(ASIS)を結ぶ線との成す角とした。測定は安静背臥位より「膝を立てて下さい」という指示により膝を立て、胸の前で手を合わせた状態で行った。足部の位置が変化しないよう、初回測定時の足部の位置にテープを貼り、測定毎に足部の位置を修正した。服装はランドマークが確認しやすいものとした。測定時、体幹側屈などの代償が出現しないよう注意し、骨盤と下肢を一緒に誘導した。測定には、どちらも東大式金属製関節角度計を使用し、測定値は1°刻みで検者が読み取った。測定は日整会による方法と、臥位体幹回旋可動域をそれぞれ左右5回ずつ計20回行い、級内相関係数(以下、ICC)を用いて検者内信頼性を検討した。また、1回目の測定後、2週間以内の同時刻に2回目の測定を行い、対応のあるt検定を用いて両群間において再現性を検討した。【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき対象者に対して研究の趣旨と内容、得られたデータは研究以外で使用しないこと、および個人情報漏洩に注意することについて十分な説明のうえ同意を得て研究を行った。【結果】 検者内信頼性はICCで、1回目測定時の臥位右回旋可動域0.85、臥位左回旋可動域0.80、坐位右回旋可動域0.74、坐位左回旋可動域0.80、2回目測定時の臥位右回旋可動域0.88、臥位左回旋可動域0.84、坐位右回旋可動域0.82、坐位左回旋可動域0.86を示した。再現性は、測定1回目・2回目すべての方法で両群間に有意差はなかった。【考察】 本研究では、日整会による胸腰椎回旋可動域測定と臥位体幹回旋可動域測定の検者内信頼性と再現性について検討した。結果はそれぞれの方法での検者内信頼性・再現性ともに良好な結果が得られた。本研究では、ICCは 1回目坐位右回旋可動域0.74、それ以外の測定では、0.80以上と良好な結果が得られた。再現性は、すべての方法で両群間において有意差はなく、良好な結果が得られた。本研究では、坐位に比べ臥位では回旋可動域が平均2°程度大きくなる傾向が見られた。理由として、臥位での測定時に体幹側屈などの代償が出現してしまうこと、体幹回旋の軸がずれてしまうことなどが考えられる。また、坐位と臥位では骨盤傾斜・脊柱彎曲が変化する。これにより、椎間関節の適合性や筋・靭帯の緊張が変化し、可動域に影響することも考えられる。今後は検者を複数として検者間信頼性を検討し、日整会による胸腰椎回旋可動域と臥位体幹回旋可動域の相関性の検討・同方法の傾向などの検討が可能であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究により、日整会による胸腰椎回旋可動域と臥位体幹回旋可動域の検者内信頼性と再現性について良好な結果が得られた。今後上記のような課題を解決し、それぞれの方法との相関性を検討することで、臥位体幹回旋可動域測定が体幹回旋量を測る簡便な評価として使用することが可能となる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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