理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
徒手的誘導前後におけるパフォーマンスの変化と大脳皮質活動の検討
─fNIRSを用いて─
平田 秀則万庭 寛田原 慶子宮崎 志保宝 由里子渕 雅子
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p. Ab0701

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抄録
【目的】 我々は、対象者のパフォーマンス向上のため徒手的誘導(以下誘導)を実施する。誘導を経てパフォーマンスが変化しスキルが向上する背景には、中枢神経系の活動に変化が起こっていると考えられる。今回、我々は誘導前後におけるパフォーマンスの動態と、その際の大脳皮質活動をfNIRSを使用し抽出、比較検討することで若干の知見を得たのでここに報告する。【説明と同意】 研究の主旨を説明し、同意を得られた者を対象とした。尚、今回の研究は当院倫理委員会より承認を得ている。【対象】 健常成人男性1名(年齢28歳6ヶ月)。研究に影響のあるような既往歴がない者で研究の趣旨を理解し同意を得たものとする。【方法】 計測は、誘導前-誘導-誘導後の誘導前と誘導後に実施。対象者に実施する誘導前後の動作課題は、パフォーマンスが難しい片脚での起立–立位保持–着座(以下片脚課題)とし、片脚課題特有の傾向を抽出するための対照課題として、両脚での起立–立位保持–着座(以下両脚課題)を設定、安静–課題–安静(5-10-10秒)のブロックデザインにて交互に各3回、計6回計測した。課題中の片脚課題時の支持側は右(利き足)とした。誘導は、5回の片脚課題を非支持側上肢(左上肢)に手を沿えた状態で、本人の動きに合わせて運動を軽く誘導する方法とした。パフォーマンスの変化に関しては、課題中の身体の揺れの状態、立位保持時間を指標とした片脚立位動作スケールを作製し、円滑さを点数化(12点満点)、片脚課題施行毎に実施した。大脳皮質活動の変化に関しては、島津製作所製の近赤外光イメージング装置OMM-3000を使用し、脳活動の指標は酸素化ヘモグロビン(oxy Hb)とした。測定部位は国際10-20法に基づき、Czを中心に一次感覚野領域、一次運動野領域、高次運動野(運動前野、補足運動野)領域、前頭前野領域周辺に送光ファイバーと受光ファイバーを3cm間隔に全48ch配置した。解析方法は、片脚課題の加算平均のトレンドグラフデータから、両脚課題の加算平均のトレンドグラフデータを減算、差を抽出し、抽出データをGLM統計処理よりt値を算出することを、誘導前と誘導後それぞれ実施した。【結果】 パフォーマンスの変化としては、誘導前が平均10.3点(10-9-11点と推移)。誘導後は11.7点(11-12-12点と推移)と向上した。誘導前の減点項目は起立、着座時の身体の揺れ、誘導後は立位保持時の揺れだった。誘導前の大脳皮質活動は、前頭前野、高次運動野広範に有意なOxyHbの濃度変化が認められた。また、Cz周辺の一次感覚野、一次運動に著明な濃度変化が認められた。誘導後の大脳皮質活動は、Cz周辺の一次感覚野、一次運動野周辺に有意なOxyHbの濃度変化が認められた。誘導前後の大脳皮質活動の比較では、誘導後の濃度変化が誘導前に比べ前頭前野周辺を中心に全体的に減少する傾向にあった。【考察】 動作スケールの結果から、誘導前よりも誘導後の方が課題中の揺れは減少しており、パフォーマンスは向上した。パフォーマンス向上の背景となる大脳皮質活動としては、誘導前には前頭前野、高次運動野を中心とした領域に持続的な活動が起こっており、運動プログラムの生成に貢献していると考えられる。その後、誘導により目指すべき結果に必要な運動方向やタイミングのフィードバックを受け、誘導後は生成されたプログラムに基づき運動が実行されたと考えられる。誘導後の前頭前野、高次運動野の活動の低下、一次感覚野、一次運動野の優位な活動上昇は、生成されたプログラム実行のもと、リアルタイムな運動の出力調整に活動がシフトし、運動結果に貢献していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 誘導前後のパフォーマンスにおける大脳皮質活動の変化を理解することで、効率的動作学習の一助となり、臨床応用に繋がればと考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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