理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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キネシオテープ貼付の有無と貼付方向の違いが大腿直筋の筋機能に及ぼす影響
磯谷 隆介工藤 賢治諸澄 孝宜須藤 慶士風間 貴文吉田 一也
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p. Ab1077

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抄録
【はじめに、目的】 キネシオーピングは、キネシオテープ(以下KT)を皮膚に貼り、筋膜と筋の間にわずかな隙間を作ることにより、血液やリンパの環流を改善、過剰に伸張もしくは収縮した筋の緊張を改善させる目的で行われるテーピング法である。また、福井ら(2010)は皮膚の誘導方向の違いで筋出力が変化すると報告しており、皮膚や筋膜への介入は理学療法に有用と考える。しかし、KTの筋機能に及ぼす影響、KT貼付による皮膚の誘導方向の違いが筋機能に及ぼす影響については検証されていない。そこで本研究の目的は、超音波画像診断装置を用いてKTの貼付の有無と皮膚誘導方向の違いによる大腿直筋の筋機能を、筋厚、羽状角、筋束長を比較することによって検証することとした。【方法】 対象は運動器疾患および下肢に障害のない成人男女13名(29.5歳±5.2)の両側大腿26肢とした。計測肢位は足底接地した安静座位で、股関節・膝関節屈曲90°肢位 (以下膝屈曲位)。股関節屈曲90°・膝関節伸展0°肢位(以下膝伸展位)の2肢位とした。KTは「KINESIO Tex +PLUS EDFG」を使用し、予め20cmに採寸したKTを大腿直筋の筋腱移行部より大腿直筋の筋腹の際に沿って貼付した。貼付肢位は、皮膚の最大伸張位である膝関節屈曲位にてKTを軽度伸張した状態で貼付した。貼付条件は貼付なし(以下Non)、遠位から近位方向へ貼付(以下Dis)、近位から遠位方向へ貼付(以下Pro)の3条件とした。なお、被験者により貼付の順はランダム化した。計測部位は皮膚の移動を考慮し、上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結んだ線上の各肢位での大腿直筋の筋腱移行部より5cm近位とし、超音波画像診断装置(日立メディコ社製EUB-7500)を用いて3回計測した平均値を求めた。筋厚と羽状角の特定は、プローブを筋走行に水平に当てた縦断画像から計測した。なお、筋束長は筋厚/sin(羽状角)として算出した。統計学的分析方法として、膝屈曲位・膝伸展位におけるNon・Dis・Proの条件間の比較に反復測定による一元配置分散分析と多重比較法(Tukey-Kramer法)を適応した。統計解析はIBM SPSS Statistics Version 19を使用し、有意水準はp<0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は人間総合科学大学倫理審査委員会で承認された(第248号)。対象者に研究の趣旨を口頭と書面にて同意を得た上で実施した。【結果】 統計解析の結果は膝屈曲位にて、筋厚はNonと比較しDisに有意な増加(p=0.003)、Nonと比較しProに有意な増加(p=0.041)が認められた。羽状角はNonと比較しDisに有意な増加(p=0.008)、Proと比較してDisに有意な増加(p=0.010)が認められた。筋束長はDisと比較しProに有意な増加が認められた(p=0.026)。なお、膝伸展位の条件間には全て有意差が認められなかった(p>0.05)。【考察】 皮膚誘導方向においては、KTの貼付方向の違いにより、構造学的に異なった効果が得られると考えられる。まずDisでは、Proと比較して筋束長よりも羽状角を増大して筋厚を増大させた。Proでは、Disと比較して羽状角よりも筋束長を増大して筋厚を増大させたものと推察する。先行研究によれば、羽状角は筋肥大により増大し、力発揮特性に影響を及ぼす因子となるとしている。さらに筋束長は筋の収縮速度と関係していると報告されている。したがって、本研究の結果よりDisは羽状角の増大により力発揮特性を向上させ、Proは筋の収縮速度向上により、筋機能が向上したと考えられる。また、大腿直筋に対するKTの貼付は、KTの貼付方向に関わらず、膝屈曲時は貼付なしの状態と比べて筋厚の増大が確認された(p=0.003)。しかし、膝伸展時の筋厚・羽状角・筋束長の変化は見られなかったため、KTは即時的に筋力を増強することはできないが、継続的に貼付することにより、筋機能とともに筋力を向上する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 KTは安静時の筋厚を増大させ、皮膚誘導方向の違いにより、羽状角、筋束長を変化させられることが示唆された。KTの継続的な貼付は、筋力強化の持続、収縮特性を考慮した理学療法評価・治療の一助となると考えられる。なお、羽状筋以外の筋やパフォーマンスに与える影響を今後考慮する必要があると考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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