理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
タオルギャザー実施時間測定による転倒予測評価の試み
金子 千香, 丸山 仁司, 菅沼 一男, 今野 千帆, 榊原 僚子, 稲田 由紀, 増田 紗嘉
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キーワード: 転倒予防, 高齢者, 足趾
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p. Ab1324

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抄録
【はじめに、目的】 転倒と転倒に伴う骨折は高齢者の寝たきり要因の上位に挙げられる.高齢者の転倒に伴う代表的な骨折として大腿骨頸部骨折が挙げられ,受傷機転の95%は転倒によるとされている.日本では2010年度推定で約17万人が受傷し,2030年には約26万人に達すると予想されており,高齢者の転倒予測と予防策が重要とされている.立位での静的姿勢制御能および前傾姿勢の安定性は60歳代以降において低下し,前方への最大振幅は将来の転倒を予測する最大の因子ともいわれている.足趾機能は立位での前方重心偏移時のバランス保持に重要な役割を担っている.足趾把持力強化としてはタオルギャザーを用いることが多く,先行研究において足趾把持力強化が転倒予防に効果があるという報告がされている.しかし,足趾の機能を総合的に評価する方法は確立されていない.本研究の目的は転倒予測のための足趾機能評価として,タオルギャザー実施時間測定(以下,タオルギャザーテスト)の信頼性と妥当性を検討することである. 【方法】 信頼性の検討は健常者9名(男性4名・女性5名,年齢29.0±7.8歳)を対象とし,同日内に3回のタオルギャザーテストを行った.測定の信頼性を確認した後,65歳以上の高齢者女性15名を対象にタオルギャザーテスト, Timed Up and Go test(以下,TUG),Functional Reach Test(以下,FRT)を実施した.対象者は過去1年間の転倒の有無により転倒群と非転倒群に分類した.転倒群は9名(年齢82.5±4.9歳),非転倒群は6名(78.4±7.2歳)であった.なお,対象者は神経学的疾患のない自立歩行可能な者とした.タオルギャザーテストの開始肢位は股関節・膝関節ともに90度屈曲位で足底が完全接地する椅坐位とした.足底にフェイスタオルを縦長に敷き,タオルに引いた開始線と床面の開始線を合わせ,両足趾尖端を開始線に揃えた状態から,タオルの先端10cmを前方の台上に乗せ,できるだけ速くタオルギャザーを行い,タオル尖端10cmが台上から落ちるまでの時間を測定した.測定時間の上限は60秒とした.測定は3回実施し,測定値は最速時間を採用した.TUG,FRTは既存の測定方法に基づき測定した.全ての測定の測定値は小数点第1位までを採用した.統計学的手法は,信頼性の検定には一元配置の分散分析と級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient:ICC)を用いた.転倒群と非転倒群の群間比較は対応のないt検定を用いた.さらに,タオルギャザー実施時間測定とTUG,FRTの測定結果の相関についてPearsonの積率相関係数を求めた.すべての検定における有意水準は5%未満とし,統計解析はSPSS for Windows ver.14.0Jを用いて行った.【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に従い,対象者には本研究の内容(目的,方法等),個人情報の取り扱いについて十分に説明し,同意書にて同意を得た上で倫理的配慮に基づき研究を実施した.【結果】 タオルギャザーテストの信頼性は一元配置の分散分析の結果,主効果は認められず,ICC(1,1)は0.821であった.各評価の測定値(転倒群/非転倒群)はタオルギャザー実施時間が55.2±11.5秒/19.5±23.4秒,TUGが13.9±3.0秒/8.0±2.4秒,FRTが21.7±6.6cm/25.7±4.9cm,であった.群間比較では,タオルギャザーテストとTUG は2群間に差が認められたが,FRTは差が認められなかった.タオルギャザーテストとTUGの相関係数は0.651であり,タオルギャザーテストとFRTは0.468であった.【考察】 転倒予測としてのタオルギャザーテストの信頼性と妥当性を検討した.本法の信頼性は良好であった.タオルギャザーテストとTUGの測定結果は,群間比較において差が認められ,タオルギャザーとTUGに中等度の相関関係が認められたことから,タオルギャザーテストを転倒予測の評価指標として用いることが期待できる.しかし,本研究では症例数が少なく適正な分解点を示すことができなかった.また,転倒群ではタオルギャザーを実施困難な者が多かった.以上のことからタオルギャザーテストを転倒予測に用いるには,課題の内容を修正し,対象数を増やすことが必要であると考えた.【理学療法学研究としての意義】 既存の転倒予測評価としてはTUGやFRTなどが知られている.これらの評価は,特別な機器を使用せずに行えるため一般的に広く使用されている.しかし,バランス能力の低下した測定対象者に歩行や応用的な立位を強いる必要があり,測定自体に転倒の危険性がある.また,環境が整わないために実施できないこともある.本法は,椅坐位で安全かつ簡便に,誰にでも行える転倒予測評価として応用できる可能性があると考える.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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