理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
片麻痺患者における側方リーチ範囲と座面座骨部圧力値との関連について
岡安 健網本 和野本 彰葛山 智宏朝倉 祥子小川 英臣高田 将規永見 倫子森田 定雄正岡 智和
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キーワード: 片麻痺, リーチ動作, 座面圧
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p. Bb0523

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抄録
【はじめに、目的】 片麻痺患者の基本動作能力の中でも動的座位能力の評価及び治療は、臨床現場において重要である。従来、座位保持能力の評価指標として座位によるFunctional Reach Test(以下FRT)が広く使用されているが、FRTは体幹を直線的に前屈する検査法であり、体幹の回旋を伴う実際のADL動作場面においての実質的な評価とは言い難い。一方、片麻痺患者の動的座位訓練では、非麻痺側上肢の側方へのリーチで体幹の立ち直り反応を促すと共に、左右への殿部や座骨部への適切な荷重を促すことが少なくない。しかし、片麻痺患者における座位での体幹回旋を伴った側方リーチ範囲と座骨部圧力値の関係は明らかではない。そこで我々は、座位での体幹回旋を伴った側方リーチ範囲の測定法を新たに考案し、片麻痺患者における側方リーチ時のリーチ範囲と座骨部圧力との関連を検討した。【方法】 対象者は車椅子座位保持の可能な右片麻痺群5名、左片麻痺群5名の計10名(男性6名、女性4名、右片麻痺群年齢、67±8.2才、体重、53±8.8kg、左片麻痺群年齢66±7.8才、体重61±8.6kg)。Brunnstrom Recovery Stageは右片麻痺群II~IV、左片麻痺群II~III、左片麻痺群では3名に左半側空間無視症状を呈していた。リーチ範囲の測定は、中央に水平指標を設置した縦130cm、横200cmの木製パネルを車椅子座位にある対象者の前方前額面上に配置し、測定場所全体を不透明な仕切り板で囲み、静音の状態にて行った。対象者の基本姿勢は車椅子座位で、体幹は車椅子座面に対して垂直位、非麻痺側上肢肩関節挙上90度、軽度水平内転位、肘関節伸展位、前腕回内外中間位、股関節屈曲90度、膝関節屈曲90度、足底全面接地とした。測定は検査者が対象者に対して左右へ非麻痺側上肢をできる限り遠方へ伸ばすという教示を行い、右左左右、左右右左の計8回施行した。検査者は対象者の水平指標に設置した1cm刻みのメジャーを目視してリーチ範囲を測定した。対象者のリーチ時座面座骨部圧力測定は圧力測定システム、コンフォライト(ニッタ社製)を使用した。座面を右殿部および右座骨部圧力、左殿部および左座骨部圧力に分けて計測した。統計解析はSPSS,ver19を使用し、左右各片麻痺群を2要因として、左右リーチ範囲、左右座面座骨部圧力との関連を反復測定による二元配置分散分析、多重比較を行った。また、全ての解析に先立ちBonferroniの不等式で有意水準の修正を行った(p≦0.0125)。 【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、研究説明書、研究同意書、研究同意撤回書を作製。対象者に研究参加に対する自由意志と権利の確認、個人情報の保護や管理などの個人情報保護に対する配慮を十分に説明し、同意を得た。【結果】 右片麻痺群の左右リーチ範囲は、麻痺側(41.9cm)と比較すると非麻痺側へのリーチ範囲が62.8cmと有意に大きかった。また、非麻痺側へのリーチ時に非麻痺側座骨部圧力は261.5mmHgと有意に大きかった。左片麻痺群では左右リーチ範囲に有意な差はなく、非麻痺側座骨部圧力は非麻痺側へのリーチ時に319.4mmHgを示し、麻痺側へのリーチ時は96.3mmHgとなりこの差は有意であった。また、左方向へのリーチ時の左座骨部圧力は右片麻痺群261.5mmHg、左片麻痺群311.8mmHgと麻痺側に関係なく有意に大きかった。【考察】 側方リーチ時に右片麻痺群は麻痺側座面への重心移動が困難で側方リーチ範囲が低下する傾向があり、左片麻痺群ではリーチ範囲の差はないものの、麻痺側へのリーチ時に非麻痺側座面圧力が低下し、麻痺側座面へ大きく荷重点が移動することが分かった。通常、片麻痺患者においては麻痺側へのリーチを伴った重心移動が困難になる事を多く経験する。しかし、脳血管障害により右大脳半球を損傷している場合、視空間認知の障害により半側無視症状や、これに付随したプッシャー様現象などが出現し、リーチ範囲や重心移動、座面圧力反応において必ずしも右片麻痺患者と同様の傾向は示さない。このことは、片麻痺患者に動的座位訓練を行う場合に、麻痺側の差違によって訓練方法を選択する必要があることを示唆している。今後は、本研究で行った側方リーチ範囲測定の信頼性、妥当性の検討を進めると共に、症例数を増やし、座面圧力と実際の身体機能、高次脳機能障害との関連などを詳細に検討していく。【理学療法学研究としての意義】 片麻痺患者の動的座位訓練において麻痺側殿部への重心移動及び荷重訓練は重要であるにもかかわらず、麻痺側殿部への荷重パターンの客観的データが示された報告はない。本研究により、側方リーチ時の座面圧力の傾向が客観的に明らかになることで、臨床における理学療法士の評価及び治療の一指標になることが期待される。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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