理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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専門領域 口述
神経変性疾患患者に対するリハビリテーションにおける栄養状態の関与
―第1報―
菊地 豊今井 裕子斎藤 豊成塚本 拓室岡 範江児玉 悦志榊 智江丸山 巧内川 茉美土屋 麻希子平野 郁子美原 盤
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p. Be0019

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抄録
【はじめに】 神経変性疾患では、病態進行に伴い嚥下機能の低下などにより栄養状態の低下をきたしやすい。特に低栄養状態での積極的な運動療法は全身状態の増悪を招きかねないことが指摘されており、注意深く栄養状態を把握した上で介入を行うことが望ましいとされている。しかしながら、リハビリテーションが提供されている神経変性疾患患者の栄養状態、理学療法実施上の栄養学的リスクについては明らかにされてはいない。そこで、神経変性疾患患者に対するリハビリテーションにおける栄養状態の関与を明らかにすることを目的にリハビリテーション処方例の栄養状態について検討を行った。【方法】 2009年4月~2011年9月までに当院神経難病病棟にてリハビリテーション処方のあった神経変性疾患群119例(年齢:68.2±11.9歳、罹病期間:106.5±156.8ヶ月、疾患内訳:筋萎縮性側索硬化症40例、パーキンソン病37例、脊髄小脳変性症22例、その他20例)と同期間に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管障害群394例(年齢:68.8±13.0歳、疾患内訳:脳出血137例、脳梗塞232例、クモ膜下出血25例)を対象とした。調査方法は、後方視的に診療録より、処方時のBody Mass Index(BMI)、総蛋白量(TP)、アルブミン(alb)、総コレステロール値(T-cho)、総リンパ球数(TLC)抽出した。Alb、T-cho、TLCの値よりControlling Nutritional Status(CONUT)スコアを採点した。BMIの群間比較は対応のないT検定、CONUTスコアの群間比較はマンホイットニー検定、CONUTスコアの比率の群間比較はΧ二乗検定をそれぞれ用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は臨床疫学研究の倫理指針に則り実施した。後方視的研究となるため、個人情報の取り扱いは脳血管研究所個人情報保護規程に則り実施した。【結果】 BMIは神経変性疾患群で18.5±3.2kg/m2、脳血管障害群で21.3±3.kg/m2と神経変性疾患群で有意に低値を示した(p<0.01)。CONUTスコアは神経変性疾患群2.4±1.9、脳血管障害群1.8±1.5と神経変性疾患群が有意に高かった(p<0.01)。CONUTスコアにて、2点以上の栄養不良は神経変性疾患群64.1%(77/119例)脳血管障害群54.1%(214/394例)と神経変性疾患群で高い傾向にあった(p=0.06)。栄養介入の目安となるCONUTスコア5以上は神経変性疾患群で11.7%(14/119例)、脳血管疾患群で5.1%(20/394例)と神経変性疾患群で有意に高かった(p<0.01)。【考察】 神経変性疾患群では栄養不良を示す患者の割合が脳血管障害群よりも高く、割合も64%にのぼること、栄養介入を必要とする患者が10%強存在することから神経変性疾患の理学療法においては、介入前の栄養状態の把握が重要と考えられる。また、脳血管障害群に比して神経変性疾患群においてBMIが低値を示したこと、罹病期間が約10年と長いことから、神経変性疾患群の栄養不良の背景には、脳血管障害群とは異なり経過に伴う体重減少が関与していると考えられた。栄養評価が神経変性疾患の理学療法評価として位置づけられるには、介入前の栄養状態が理学療法のアウトカムにどの様な影響を及ぼすかを明らかにする必要がある。【理学療法学研究としての意義】 臨床的に簡易な栄養指標を用い、神経変性疾患の理学療法実施例における栄養不良リスクについて明らかにした点。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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