理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
二重課題条件下での歩行時間は大腿骨頸部骨折患者の自立判定における指標になりうるか?
Gold standard評価との比較
大谷 知浩神戸 照世渡辺 有希子佐々木 泰彦平石 武士
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p. Cb1124

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抄録
【はじめに、目的】 高齢者の転倒に関する因子は数多く報告されており、その中でも近年二重課題歩行(以下、Dual task:DT歩行)と転倒の関係性を論じた研究が数多くみられるようになってきた。しかし、大腿骨頸部骨折患者を対象とした報告は少ない。そこで今回、大腿骨頸部骨折患者を対象に、歩行自立群と見守り群とでDT歩行、Timed“Up and Go”test(以下、TUG)、Berg Balance Scale(以下、BBS)のそれぞれのcut-off値を算出し、DT歩行が、歩行自立判定の一助となるか検証した。【方法】 対象は、当院に入院した大腿骨頚部骨折患者31名である。対象を自立群18名(77.3±7.3歳)、見守り群13名(83.0±3.7歳)の2群に分けた。取り込み基準は、独歩または片杖歩行が可能な者で、簡単な計算「50-2は?」が机上でも可能な者とした。また、中枢・神経症状を伴う内部疾患を有する者は除外した。自立群の定義は、Functional Independence Measure(FIM)の移動6点かつ片脚立位がどちらかの足で5秒以上可能な者とした。測定項目は、10m自由歩行(以下、Single task:ST歩行)、DT歩行、BBS、TUGとした。ST歩行は2回測定した平均値とし、DT歩行は学習効果の影響を排除するため1回のみの測定とした。DT歩行の課題は、山田ら(2007)の方法を引用し「100-2は?」と、100から順に2を引いていく簡単な計算課題とした。また、歩行開始から終了までは計算を行い続けることを原則とした。ST歩行時間とDT歩行時間の変化量は、山田ら(2007)の計算式を一部改変したものを用いて算出した。※ 変化量(%)=(DT歩行時間-ST歩行時間)/ST歩行時間 ×100統計解析は、各測定項目をReceiver-Operating-Characteristic(ROC)曲線(自立度を状態変数とした)にてcut-off値を算出した。また、各測定項目を独立変数に、歩行自立度を従属変数にしてロジスティック回帰分析(変数増加法、尤度比)を行った。いずれも、統計解析ソフトはDr.SPSS 2 for Windowsを用い、統計学的有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の主旨および目的を口頭と書面にて説明し、同意を得た。【結果】 各測定項目のcut-off値は、変化量39.93%(感度76.9%、特異度66.7%、陽性適中度62.5%、陰性適中度80%、曲線下面積71.4%)、TUG13.7秒(感度92.3%、特異度72.2%、陽性適中度66.6%、陰性適中度92.3%、曲線下面積81.2%)、BBS47点(感度30.8%、特異度22.2%、陽性適中度75%、陰性適中度78.9%、曲線下面積19.9%)が算出された。ロジスティック回帰分析(変数増加法、尤度比)の結果、変化量が有意な変数として選択され(p<0.05)、オッズ比1.04、95%信頼区間 1.00-1.07であった。【考察】 変化量のcut-off値の感度は76.9%であり、変化量が歩行自立度に影響のある変数として抽出された。このことから、DT歩行は大腿骨頸部骨折患者における歩行自立判定の有益な評価となり得る可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 DT歩行は、身体面や認知面の複合的な評価として、大腿骨頸部骨折患者の歩行自立判定の際に有用である。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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