理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
ライフセービング競技会におけるトレーナーステーション活動報告
河西 紀秀井口 祥平神崎 智則池之側 義輝高島 孝之笠原 政志
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p. Cb1148

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抄録
【はじめに、目的】 ライフセービング競技会とは、水辺、砂浜などでライフセーバーが日頃から救助に必要な技術を磨き、その成果を競い合う目的で行われる。今回、全日本ライフセービング選手権(以下西日本大会)で、各ライフセービング競技会にて実施しているトレーナーステーション(以下TS)活動に順じ、ライフセーバーに対するコンディショニングサポートを行った。本研究ではこの活動をもとに、今後のトレーナー活動において、理学療法士に求められる介入の在り方、傷害予防に向けての取り組みについて検討したのでここに報告する。【方法】 対象としたのは、2009~2010年度に開催された、西日本大会(2大会、2日間)にてTSを利用した選手とした。TSでの活動内容は、競技時の応急処置を行う救護班、コンディショニングサポート及び啓蒙活動を行うTS班に分かれて活動を行った。本活動に参加したスタッフは医師(1名)、理学療法士(3名)、アスレティックトレーナー(1名)、であった。集計方法は、応急処置件数、対応内容、傷害部位(種目別)について調査した。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究を進めるにあたり、内閣府特定非営利活動法人 日本ライフセービング協会(以下JLA)及びJLA医・科学部の承認を得た。【結果】 TSを利用した選手は大会参加者240名に対して36件、24部位、21名(男性16名、女性5名)、平均年齢27.2歳±14.8歳、利用率8.8%であった。TSでの対応内容で多かったものは、アイシング16名(44.4%)、コンディショニング指導10名(27.8%)、テーピング4名(11.1%)、創処置4名(11.1%)、シーネ固定1名(2.8%)、医療機関への受診を促した選手1名(2.8%)であった。種目別での傷害部位への対応として、ビーチ種目(ビーチフラッグやビーチスプリントなど)では大腿部7名(53.8%)、肩3名(23.1%)、膝1名(7.7%)、下腿1名(7.7%)、足部1名(7.7%)であった。サーフ種目(レスキューボードでのレースやサーフスキーを用いたレースなど)では腰部4名(36.4%)、肩2名(18.2%)、大腿部2名(18.2%)、上腕1名(9.1%)、膝1名(9.1%)、足部1名(9.1%)であった。【考察】 今回、JLAが主催する西日本大会では初となるTS活動を行った。TS利用率(8.8%)は予想より低く、その原因としては、TS設置に伴う十分なインフォメーションが不足していたことや、西日本大会におけるトレーナーに対する認知度の低さ、各大会が1日のみの開催であったことなどが影響したと考える。TSでの対応内容はアイシング、コンディショニング指導、テーピング、創傷処置、医療機関への促しであった。本大会におけるTSはテーピングやストレッチングなどのコンディショニングだけではなく、「ライフセーバーは自身の体は自分で守る」という理念から、選手に対してコンディショニング指導を積極的に実施した。自己管理に関する意識改善が必要な選手は多くおり、本大会で実施したようなTS活動を継続し、選手の自己管理教育を行うことが必要であると考えられる。傷害部位別で見ると、ビーチ種目では大腿部の傷害を多く認めた。これは一般の路面と比較して、砂浜という不安定なサーフェイス上での走行が繰り返されるため、大腿部の傷害が多く認められたのではないかと考える。この傾向は、他の競技会においても同様な結果がみられるため、今後ライフセーバーの傷害予防を検討していく上で大きな課題を得た結果となった。サーフ種目では腰部の傷害が最も多く見られた。パドルボードを操る際、上半身を低い姿勢に保ち、連続的に腕を使って漕ぐ動作をすることで、腰部に負担が強いられることが予想される。以上により、競技種目によって発生頻度の高い傾向を示す部位があることを確認できた。その傷害発生要因を分析し、自己管理能力の向上を促す意味でも、我々、理学療法士の果たす役割が大きいと考える。【理学療法学研究としての意義】 ライフセービング競技会は海や砂浜というような自然環境で競技が実施される。そのため、砂浜の状態、海岸の地形、気温、海面の状況など、ライフセービング競技に関わる上で理学療法士が知識として得なければならないことは多い。また、TS活動を実施するにあたっては、大会中のスポーツ外傷に対する迅速かつ適切な応急処置や短時間で本人の主訴に応じた適切な処置が求められる。したがって、理学療法士がスポーツ現場に出向いてTSなどの活動をするにあたっては、応急処置の知識技術、限られた時間での事前準備をすることが必要であることを考える機会となる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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