理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
訪問を行うセラピストに求められるヘルスアセスメントについての検討
北村 綾子林 浩明福田 恵藤田 紀子立石 容子
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p. Ea0356

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抄録
【はじめに、目的】 当訪問看護ステーションでは、依頼者のニーズより、訪問リハビリテーション単独から介入を開始したものの、健康状態に影響を与える問題が表在化し、訪問看護サービスを導入する利用者が存在している。そこで、訪問看護サービスを導入した利用者(以下看護導入群)とリハビリテーション単独の利用者(以下リハ単独群)の利用者を分析し、セラピストが行うべきヘルスアセスメントの必要性とその内容について検討したので報告する。【方法】 利用者カルテからの遡及的分析で、対象は平成23年3月末現在に当事業所のサービスを利用していた利用者143名。調査期間はH23年8月~10月に使用するデータを収集し分析を行った。(調査内容)調査内容は、利用者の属性とサービス介入時の状況、看護師導入までの期間とその理由及び、健康状態に影響を与える周辺問題である。健康状態に影響を与える周辺問題は、MDS-HCのアセスメント項目にある、1治療方針の順守、2薬剤、3健康状態及び予防、4栄養、5皮膚の状態、6排泄に、7医療機器の管理を加え、7項目を設定し調査を行った。(分析方法)調査項目は単純集計を行い、健康状態に影響を与える周辺問題に対しては、看護導入群とリハ単独群を、χ2検定により比較した。統計ソフトはSPSS11.0Jを用い、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 当事業所の倫理規定に基づき、個人が特定できないよう個人情報の保護に配慮し実施した。【結果】 1)利用者の属性と訪問看護介入時の状態利用者は、男性52名、女性91名で平均年齢76.0±16.4歳であった。開始時のサービス依頼の割合は、看護師単独開始67名(47%)、リハ単独開始63名(44%)、リハ・看護同時の開始13名(9%)であった。リハ単独開始の利用者63名中、24名(38%)が看護導入群であった。看護師導入までの期間は、1ヶ月未満が7名(29.2%)、1ヶ月~3ヶ月未満が4名(16.7%)、3ヶ月~6ヶ月未満が5名(20.8%)、6ヶ月以上が8名(33.3%)であった。訪問看護師が介入することとなった理由としては、治療方針の順守20件、薬剤12件、健康状態および予防14件、栄養13件、皮膚の状態12件、排泄14件、医療機器の管理2件であった。2)看護導入群とリハ単独群の比較検討健康状態に影響を与える周辺問題7項目について、看護導入群とリハ単独群で比較検討を行ったところ、「治療方針の順守」、「栄養」、「皮膚の状態」「健康状態及び予防」に問題がある利用者が、看護導入群に有意に多く(p<0.01)、薬剤、排泄、医療機器の管理については有意差を認めなかった。【考察】 当事業所のサービス依頼において、リハビリテーション単独からの介入を依頼されるケースは全利用者の44%と、半数近く存在していた。うち約4割が、後に訪問看護を導入し、導入例の3割が、1カ月未満の紹介となっていた。これらの結果は、健康問題への対処ができないまま、リハビリテーション単独で依頼されるケースが多いことが示唆された。また、健康に影響を与える周辺問題における看護導入群とリハ単独群の比較検討からは、「治療方針の順守」、「栄養」、「皮膚の状態」、「健康状態及び予防」において、看護師導入が多くなされていることが確認され、セラピストがアセスメントをする際により注意をしなければならない項目としてあげられると考える。必要なサービスの調整は、主として、介護支援専門員が課題分析に基づき利用者に紹介・調整を行うが、医療サービス導入の必要性については、セラピストと介護支援専門員との医学的評価の視点の相違があるものと考えられる。また、介護支援専門員が、医療環境の改善や看護の導入を理解しても、様々な理由から、利用者に了解が得られず断念するケースもある。これらの結果より、セラピストは、医学・健康管理などの視点も加えた評価を定期的に行い、利用者にとって必要な医療サービスを熟慮し、提案し続けていくことが、活動の上で重要な支援であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 訪問に関わるセラピストには、利用者の病状悪化を防ぐためにも、健康状態に影響を与える周辺問題の評価が必要である事を示唆した研究であると言える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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